| 研究課題/領域番号 |
19K18018
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| 研究機関 | 北海道大学 |
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研究代表者 |
川村 典生 北海道大学, 医学研究院, 特任助教 (20746953)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 肝移植 / 肝再生 / 単離肝灌流 |
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| 研究実績の概要 |
生体肝移植において過少グラフト症候群は予後を規定する重要な病態である。近年、機械灌流が心停止や脂肪肝ドナーに有効なことが臨床報告されたが、灌流中のグラフトコンディショニング法は十分に検討されていない。本研究では、肝グラフト摘出後に酸素化体外灌流し、その際に肝再生の初期シグナルを薬剤性に賦活する方法を開発する。機械灌流中に肝再生シグナルを刺激することにより、移植（再灌流）後早期に肝再生を完了させ過少グラフト症候群の克服を目指す。候補薬剤としてセロトニン類似物質（DOI）の効果を検討する。
2020年度は機械灌流によるグラフトコンディショニングのため、心停止モデルを用いて低温機械灌流（HOPE）の至適条件検討の検討を行った。灌流液としてUW-MP液を使用したが、再灌流後の胆汁産生量・門脈抵抗値の改善が見られず、また末梢の灌流不全に起因すると思われる肝細胞障害が認められた。改善策としてHOPE中に水素ガスの併用を行ったところ、胆汁産生量や門脈抵抗の改善はあまり見られなかったものの、組織学的に末梢肝細胞障害は改善傾向が見られた。水素ガス併用は有用であると考えられたが、灌流中の門脈圧改善・胆汁酸産生量増加までは至らなかったため、続いて灌流液のpH調整を行った。本来UW-MP液のpHは7.0-7.1 であるが、NaOH付加によりpHを7.4-7.6にすることで肝障害の軽減・門脈圧低下・胆汁産生量の上昇が確認された。
今後、これらの薬剤とDOIとの併用効果を検討し、さらに過少グラフト肝移植における有用性を検討する予定である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝グラフト採取後の虚血再灌流障害の評価法、ならびに心停止モデルを用いたHOPEの至適条件検討は順調に進んでいる。灌流条件が概ね決定してきたため、今
後は肝灌流中のDOI投与を行い、その肝再生刺激効果を検討する予定である。
本研究の最終目標である生体肝移植・分割肝グラフトの単離肝灌流モデルの作成を並行して行う。
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| 今後の研究の推進方策 |
心停止モデルの至適灌流条件の検討は進んだため、心停止モデルでの至適灌流条件下での灌流中DOI投与実験を行う。DOI投与群・非投与群を比較しその有用性
を評価する。並行してラット生体肝移植モデル（分割肝移植モデル）の修練を行い、生体肝移植モデルでのDOI投与実験に移行する予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により研究が停止した時期が生じたこと、また心停止モデルの指摘条件検討にやや時間がかかったためDOI投与を行うに至らず、予算に余剰が生じた。2021年度は遅滞が生じた心停止モデルに対するDOI投与実験を行うと共に、当初の予定であった生体肝移植モデルに対する投与実験を行う予定である。
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