研究課題/領域番号 |
19K18019
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤尾 淳 東北大学, 大学病院, 助教 (50723954)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 肝細胞移植 / 灌流 / 心停止 |
研究実績の概要 |
肝臓移植は肝不全や代謝性肝疾患に対する根治的治療であり確立されている治療であるが、周術期のリスクが大きいことが報告されている。代謝性肝疾患においては、肝移植のようなハイリスクな治療が不要という報告もあり、より安全な肝細胞移植が注目されている。上記のように肝細胞移植は肝臓移植の代替療法や橋渡し療法として期待されているが、現状の問題点として収量および生着率に問題があるとされている。 本研究は心停止肝臓グラフトに対してex vivoの灌流を行い、臓器移植不適合の肝臓から肝細胞を分離して収量と機能を上昇させることを目的とした研究である。 本年度は灌流装置が修復したため、実際灌流モデルを作成することが可能であった。呼吸停止から死戦期をへた心停止を誘導し温阻血10分間を置いたのちに肝細胞分離を行うものを心停止群(DCD群)とし、同様の手法で心停止を誘導し温阻血10分後に室温酸素化灌流60分を経たのちに分離したものをPerfusion-DCD (P-DCD)群として、両群の収量の比較検討を行った。 DCD群 (n=6)とP-DCD群(n=4)のラットの体重(kg)当たりの生細胞数の収量はそれぞれ69.9x10^6 (35.0-121.7)、144.6x10^6 (87.5-158.3)と有意差をもってP-DCD群の収量が多かった (P=0.019)。 現在若干のモデルの改善を行い、機能検査としてアンモニア除去試験およびATP/ADP比の測定を行っている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度が灌流装置が破損していたため修復に時間がかかった。また肝細胞分離の手技の安定に時間を要した。2021年度は収量に有意差があることが判明したため、当初の予定よりは若干遅れているが、今後機能検査及び無アルブミンラットへの肝細胞移植を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在のモデルでは温阻血10分としているが、現実的には30分温阻血を置くことで、より臨床に即した温阻血モデルができると考えられた。肝細胞分離において実際収量が取れないと考えられている温阻血30分の状態が、機能的にどのようなものであるかは、現在のところ明らかでないため、10分の温阻血より厳しいモデルを構築する必要があり、そのうえで灌流することで機能がどのように改善するか検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19により学会の参加がなく、すべてオンラインであったため、旅費がかからなかった。
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