研究課題
重症1型糖尿病患者に対する膵島移植は、その普及に際しドナー不足が問題の1つとされる。これに対し、再生医療を含めた膵島移植の長期生着に向けた技術改善と同時に、安全で安定した供給が行える新たな組織移植に期待が寄せられている。そこで多能性幹細胞由来β細胞を用いた組織移植において、安全に移植可能である皮下移植に着目した。しかし、皮下は組織生着に必要な血流に乏しいことが問題とされており、今回皮下移植を可能にし得る血管構造を伴う組織グラフトの開発を目的とした。膵β細胞としてMIN6およびiPSC由来β細胞(SC-βcells)を用い交互積層法によりスフェロイドを作成し、これを交互積層法にて細胞コートしたNHDFおよびHUVECと共培養を行い、血管化組織を構築した。In vitroにおいて、免疫組織化学による評価で、両β細胞を使用して作成した組織内に、インスリン陽性のスフェロイドおよび血管構造を確認した。機能解析では、MIN6を用いた組織で、血管化/スフェロイド組織が非血管化/単一β細胞組織に比較し、ELISA法およびqRT-PCR法で有意にインスリン分泌能の上昇を認めた。SC-βcellsを用いた組織で、血管化組織において、有意にインスリン分泌能の上昇を認めた。In vivoでは、糖尿病免疫不全マウスの皮下に、SC-βcellsを用いた血管化組織の移植を行い、随時血糖値・グルコース負荷試験での血糖値の低下を認めた。
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Transplantation
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10.1097/TP.0000000000003745