研究課題
<背景>これまでに研究代表者は、ラットDuodenal-jejunal bypass (DJB)モデルを用い「肥満症」に対する外科治療 (Bariatric surgery)は2型糖尿病・NASH改善効果を有し、その効果には腸内細菌叢Gut microbiotaの変化や胆汁酸が関与することを報告してきた。Bariatric surgeryには心血管イベントの発生抑制効果のほか、癌の発生率も低いことが報告されている。近年、腸内細菌叢の変化(Clostridium減少)による二次胆汁酸の低下がNKT細胞を増加させ、肝癌抑制に寄与することが報告された(Science 2018)。本研究ではDJBによる肝発癌抑制・予防効果について検討を行うこととした。<方法>(検討1)発癌誘導剤を用いないラットでの検討(検討2)発癌誘導剤を用いての検討<結果>(検討1)D群の血糖はS群に比し有意に低値であり、insulin抵抗性が改善していた。D群AST、ヒアルロン酸は有意に低く、NASH grading/stagingにおいても軽度であった。D群microbiomeでinsulin抵抗性・肝steatosisの改善に関連あるとされているProteobacteriaの増加を認めた。さらにD群の腸管炎症性サイトカインIFNγ、IL1β、TNFαはS群より低値を示していた。ileum、colonのclaudin-1蛍光染色を行うとD群で強発現しており、DJBで腸管バリア機能が維持されていることが示唆された。術後8週の時点では2群とも肝や他の臓器に腫瘍形成はみられなかった。(検討2)体重、血糖は両群間で差を認めなかった。Sham群で術後5週に1匹死亡した。両群の肝臓をミクロ・マクロで比較したが、両群ともに肝臓が腫瘍で置き換わっており、そこに差異は認めなかった。<まとめ>Bariatric surgeryであるDJBには腸管炎症沈静化・透過性の維持により、各臓器への炎症性サイトカインの流出が抑制されていることが示された。このように各臓器の炎症が抑制されることにより、炎症が起因とされる発癌が予防されていると思われた。
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