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2020 年度 実施状況報告書

細胞膜形態制御機構を標的とした新規HER2陽性乳癌治療薬の導出

研究課題

研究課題/領域番号 19K18029
研究機関愛媛大学

研究代表者

村上 朱里  愛媛大学, 医学部附属病院, 助教(病院教員) (60722593)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードCUL3 / HER2陽性乳癌
研究実績の概要

HER2陽性乳癌に対する新しい治療薬シーズの導出を目的として、今までに見出してきたHER2陽性乳癌細胞の増殖に必要なCUL3/KCTD10/RhoBタンパク質複合体の形成阻害剤の探索を試みた。既に、R1年度においてCUL3/KCTD10の結合を阻害する化合物を約10分子同定している。R2年度においては、特異性を評価するためにカウンターアッセイを行なった。評価系として、CUL3とCUL3の他の結合タンパク質であるSPOPとの結合を採用した。コムギ無細胞タンパク質合成系で合成したCUL3及び、SPOPをアルファスクリーンに供した結果、negative controlの10倍以上の化学発光シグナルを得た。次に、CUL3/KCTD10の結合を阻害する化合物を当該系に供した結果、残念ながら、全ての化合物がCUL3/SPOPの結合を阻害する事が分かった。KCTD10/RhoBの結合に関しては、結合を安定的に検出できる系の構築ができなかった。そこで、R1年度において同定したRhoBの下流で機能するエフェクター分子Protein-Aに着目する事にした。Protein AはRhoBと直接結合する事をR1年度に見出しているが、HER2陽性乳癌細胞において、Protein Aを発現抑制した結果、Rac1活性化依存的な細胞膜形態変化であるラッフル膜形成が阻害された。従って、Protein AとRhoBの結合阻害剤はCUL3/KCTD10/RhoB複合体の形成阻害剤と同様の効果が期待される。Protein AとRhoBの直接結合を検出できるアルファスクリーンの系の構築は既に完了しており、当該結合を阻害する化合物探索の1次スクリーニングを開始している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初計画していたCUL3/KCTD10/RhoBタンパク質複合体の形成阻害剤の探索がうまくいかなかったため。ただし、バックアッププランとなる他のタンパク質間相互作用 (Protein A/RhoB)を新たに見出しており、Protein A/RhoBの結合阻害剤探索の系の構築とパイロットスクリーニングまで完了させている。

今後の研究の推進方策

R3年度は、Protein A/RhoBの結合阻害剤の探索を進める。化合物を最適化した後は、細胞レベルで細胞増殖阻害効果、マウス個体レベルで抗腫瘍効果を評価する。また、HER2陽性乳癌細胞におけるProtein Aの機能解析を発現抑制実験と過剰発現実験により更に詳細に解析する。特にRac1活性化を指標に表現型解析を進める。また、HER2陽性乳癌患者の組織検体におけるProtein Aの発現解析も進める。

次年度使用額が生じた理由

当初計画していたCUL3/KCTD10/RhoBタンパク質複合体の形成阻害剤の探索がうまくいかず計画が遅れているため。

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公開日: 2021-12-27  

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