In vivoにおける発生期肝臓周囲の血管構築過程の解析結果をもとに、肝臓周囲に存在する各大血管 (静脈洞、臍帯静脈) の血管新生能について評価した。各大血管をゲル中において培養すると、いずれの大血管も血管新生を示すことを明らかにした。培養後の大血管について血管内皮細胞のマーカー等のホールマウント染色を行い、共焦点顕微鏡を用いて撮影した。その後、画像解析ソフトImaris上で3次元再構築した画像の解析を実施した。分枝血管網形成など、各大血管について特徴的な血管新生が認められた。また、in vivoにおいて胎児肝臓と連結している静脈洞を単離し、胎児肝臓と共培養を行った。胎児肝臓の単体培養と比較して、胎児肝臓周囲に血管網が形成された。 また、各種、各発生期における大血管についてRNAシーケンスによる遺伝子発現解析を実施した。静脈洞、臍帯静脈に特異的な因子 (2倍以上増加) は約数千個認められ、その中でも肝臓の初期発生時期の大血管に特異的な因子は数百個まで絞り込むことができた。近年のシングルセルRNAシーケンス解析 (de Soysa TY et al. Nature. 2019) で報告された因子も含まれていたことから、適切な情報が抽出できていると考えている。
|