研究課題
日本人女性における乳癌の約8割は、術後ホルモン療法で再発のリスク低下が期待できるエストロゲンレセプター陽性乳癌である。また、エストロゲンレセプター陽性乳癌はホルモン療法剤の予防投与で、化学的に発症リスクを下げられることが報告されている。今研究では効率的な発症予防介入のため、よりエストロゲンレセプター陽性乳癌の発症リスクが高い集団を同定するためのモデル構築を行うことである。既存に報告されている従前のリスクモデルは、疫学因子をもとにしたものが多く、今回われわれは疫学因子のみではなく血清因子や一塩基多型、特にエストロゲンの代謝酵素の遺伝子における一塩基多型の中で、新たに有用と思われる一塩基多型を同定し、リスクモデルを構築することに大きな目的を置いた。対象となる乳癌患者と健常者の疫学因子は電子カルテで閲覧可能、使用する予定の血清因子のデータの保管もしてある。しかしながら、新たな候補となる一塩基多型は文献的考察からpick upしてあるものの、実際の解析まで到達しなかった。収集した検体から抽出したDNAの検体の濃度にばらつきがあり、濃度調整まで到達しなかった。今後、濃度調整が終わったDNAを用いて、上記一塩基多型の解析を行う予定である。これらのデータがそろい、統計学的解析を加えることで、われわれが以前に報告した「日本人女性におけるエストロゲンレセプター陽性乳癌発症モデル」を改善したモデルを構築することができうると考える。このモデルを利用することで、先に述べた化学的なエストロゲンレセプター陽性乳癌の発症予防につながると考えられる。
4: 遅れている
COVID-19感染の拡大、それに伴う罹患予防のため、研究室への往来が困難であった。
DNAの濃度調整から着手し、一塩基多型解析につなげる予定である。
COVID-19感染対策のため実験が予定通り遂行できず、繰り越しとなった。
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In Vivo
巻: 36 ページ: 1333-1336
10.21873/invivo.12834
巻: 36 ページ: 1977-1981
10.21873/invivo.12921