研究課題/領域番号 |
19K18039
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
菊池 真理子 北里大学, 医学部, 助教 (90525403)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 乳癌 / ZEB1遺伝子 |
研究実績の概要 |
ZEB1遺伝子は、EMTにおいて中心的な役割を果たしており、化学療法抵抗性や癌の浸潤・転移以外にも様々な悪性形質獲得にも寄与するため、近年非常に注目されている。本研究は、乳癌の術前化学療法を施行した検体を用いて、ZEB1遺伝子が化学療法抵抗性や予後と関わるかを検証することを目的としている。 われわれは2019年度、術前化学療法を施行したトリプルネガティブ乳癌46症例(2006年~2013年)を対象に、術前化学療法施行前の針生検組織および手術検体を用いてZEB1の免疫染色を行い、化学療法抵抗性や予後との関連性を検討した。ZEB1の染色強度は、1+:10%以上軽度染色、2+:20%以上中等度染色、3+:30%以上強度染色とした。 化学療法前針生検の検体では、1+が38例、2+が6例、3+が2例であった。染色強度が強い方(2+以上)が、化学療法奏効度が高い(病理学的奏効度2以上である)傾向であった(p=0.0202)。再発に関しては、ZEB1の染色と再発の有無で明らかな関連性は見られなかった。ZEB1で染色される細胞のうち、円形の細胞と紡錘形の細胞があり、紡錘形の細胞が多い方が再発率は高い傾向であった(p=0.057)。 今後は、検体数をさらに増やし、針生検検体のZEB1発現と化学療法奏効度との関連性を検証したい。さらに、乳癌におけるZEB1の働きを解明するため細胞レベルでも検証を行い、円形細胞と紡錘形細胞の働きについても言及していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ZEB1遺伝子と化学療法抵抗性の関連性につき検証できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
検体数をさらに増やし、針生検検体のZEB1発現と化学療法奏効度との関連性を検証したい。さらに、乳癌におけるZEB1の働きを解明するため細胞レベルでも検証を行い、円形細胞と紡錘形細胞の働きについても言及していきたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は免疫染色が主な作業であったが、次年度は細胞を使った研究や、DNA・RNAの抽出を行う予定であるため。
|