研究課題/領域番号 |
19K18039
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
菊池 真理子 北里大学, 医学部, 助教 (90525403)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 乳癌 |
研究実績の概要 |
当院にてトリプルネガティブ乳癌の術前化学療法を施行した検体を用いて,ZEB1遺伝子が化学療法抵抗性や予後と関わるかを検証した. 2006年~2013年に当院で術前化学療法を施行し手術を行った乳癌385例のうち,針生検組織の免疫染色が可能であったトリプルネガティブ乳癌46例を対象とした.針生検組織および手術検体を用いてZEB1の免疫染色を行い,化学療法抵抗性や予後との関連性を検討した.ZEB1の染色強度は,1+:1~15%軽度染色,2+:16~30%中等度染色,3+:31%以上強度染色とした.化学療法前の針生検組織では,1+が30例,2+が14例,3+が2例であった.染色強度が強い方(2+以上)が,化学療法奏効度が高い(病理学的奏効度2以上である)傾向であった(p=0.0202).再発をした症例は15例(33%)であった.ZEB1の染色強度と再発の有無で明らかな関連性は見られなかった.ZEB1で染色される細胞には,円形の細胞と紡錘形の細胞が見られ,紡錘形の細胞が多い方が再発率は高い傾向であった(p=0.057). ZEB1遺伝子は化学療法抵抗性に関わる因子であり,染色強度の高い方が化学療法の奏効率が低いとされる報告が多いが,トリプルネガティブ乳癌においては逆の結果であった.またZEB1遺伝子はEMTに関わる重要な因子であるが,単独では予後と関わる因子にはならないことが示唆された. 以上の結果を学会等で発表し、質疑討論を行った。その結果を踏まえて追加実験を行い、論文作成を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に免疫染色を終え、統計解析も終了していますが、学会での質疑応答の結果をふまえて、症例数を増やして検証実験を行い、論文化を行う予定です。
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今後の研究の推進方策 |
症例数を増やし、免疫染色を行い、再度統計を行います。論文としてまとめる予定です。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表の質疑応答の結果、追加実験の必要があり、研究を終えることができなかったため、次年度に繰り越しをさせていただき、追加実験を行う予定です。
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