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2020 年度 実施状況報告書

白金錯体結合PIポリアミドによる神経芽腫に対する新規治療薬剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K18043
研究機関日本大学

研究代表者

植草 省太  日本大学, 医学部, 研究医員 (70746338)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード神経芽腫 / PIポリアミド
研究実績の概要

昨年度はまず、非特異的遺伝子配列を標的としたPIポリアミドの核内移行性の高さを利用し、cisplatin類似白金錯体を結合させた化合物(PIP-Pt)を神経芽腫細胞株に投与し、その放射線増感効果および抗腫瘍効果を検討したところ、PIP-Pt添加群でコントロール群と比べ、放射線照射24時間後で放射線増感効果が確認された。
PIP-Pt至適条件が確認されたところで今年度は放射線照射の至適条件の検討およびその結果の再現性を得るべく至適条件での検討を再試行した。1Gy,5Gy,および10Gyの放射線照射、照射後12時間、24時間、48時間、72時間で比較したところ、5Gyの放射線照射、PIP-Pt10μM添加群でコントロール群と比べ、有意差をもって放射線照射24時間後のcell viabilityの低下を認めた(66%、p<0.05)。引き続きPIP-Ptの抗腫瘍効果、放射線増感効果による細胞死様式の評価を試みた。前述の至適条件からPIP-Ptを10μM添加し添加24時間後に5Gyの放射線照射し検討した。照射24時間後、TUNEL法にて断片化DNAを標識し、放射線増感効果による細胞死様式の変化を確認した。その結果、PIP-Pt添加群において、放射線照射後のTUNEL陽性率は73.6%であったことからPIP-Ptを用いた放射線照射増感効果による細胞死はアポトーシスの誘導によるものが示唆された。今後はPIP-Ptの細胞内局在を細胞分画キットを用いて確認し、上記抗腫瘍効果が確認された神経芽腫細胞をヌードマウスの皮下に移植して腫瘍モデルマウスを作成し、モデルマウスにおける抗腫瘍効果の確認を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

新型コロナ感染症の蔓延により臨床業務のエフォートが増えたため、細胞培養を要するような長期間経過を観察する必要がある実験を予定通り遂行することができなかった。
リサーチアシスタントを雇用し、実験を再開することで上述する成果を確認することができた。

今後の研究の推進方策

FITCラベルしたPIポリアミドがマウス生体内において主要臓器へ分布し、神経芽腫細胞株の培養細胞系において核内へ局在することを確認しているが、cisplatin類似白金錯体を付加した状態のPIP-PtではFITCラベルが不可能である。そのため細胞分画キットを用い、神経芽腫細胞株におけるPIP-Ptの核内局在を確認する。
また、培養細胞系の実験で抗腫瘍効果、放射線増感効果を認めた神経芽腫細胞株のうち、MYCN増幅株及び非増幅株を各1種ずつ選択し、ヌードマウスの皮下に移植して腫瘍モデルマウスを作成し、以下の実験動物を用いた放射線増感効果確認実験を行う。
移植腫瘍が一定サイズに達した時点をday0とし、day1、day8にPIP-Ptを尾静脈より投与する。day2、day5、day9、day12にX線を照射する。X線照射はヌードマウスの全身被曝を防ぐために腫瘍部以外は鉛プレートで遮蔽して行う。Day28まで経時的に腫瘍のサイズを計測し、非投与照射群と比較して放射線増感効果を確認する。Day29ないし腫瘍サイズが一定値を超えた時点で解剖を行い、転移の有無を検索する。
コロナ禍による臨床業務のエフォート増大は引き続き生じるため、当研究室大学院生の協力を仰ぎ実験動物の飼育、培養細胞の維持、管理を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症が蔓延する中、臨床業務のエフォートが上がってしまったため、細胞培養を要する実験など、継続的な観察が必要な実験が不可能となり、一部研究計画が予定通りに進行しなかった。
リサーチアシスタントを雇用することで可能な実験を行ったため、生じた次年度使用額は大きくなく、翌年度は当初の予定通り研究を遂行する

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公開日: 2021-12-27  

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