研究課題/領域番号 |
19K18063
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
鈴志野 聖子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (20816376)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ADSC / 肝細胞移植 / シート移植 |
研究実績の概要 |
本研究では、温度応答性培養皿を用いた脂肪由来間葉系幹細胞(ADSC)と肝細胞による積層化シートの開発を行った。 2019年度は、温度応答性培養皿を用いて肝細胞単独シートとADSCと肝細胞による積層化シートを作成し、肝細胞のViabilityを比較し、ADSCと肝細胞の積層化シートでは有意に生細胞が多いことを確認した。また、積層化シートと肝細胞シートの肝細胞の機能を、培養上清中のアルブミン濃度を用いて比較し、積層化シートの方が、アルブミン再生能が有意に高いことを確認した。この結果から、肝細胞のin vitro培養では、ADSCとの接着培養が肝細胞のviabilityに有利に作用することが示された。 2020年度は、作製した積層化シートおよび肝細胞シートを、それぞれ免疫不全マウスの皮下に移植し、7日後、28日後に摘出して、PAS染色、免疫染色にて、肝細胞の生着率および機能を比較した。肝細胞シートの生着率は、7日後に著しく低下したのに対し、積層化シートは28日後にも肝細胞の生着していた。この結果から、in vivoにおいても、ADSCとの接着培養が肝細胞のviabilityに有利に作用することが示された。また、B6マウスに対し四塩化炭素(CCL4)の腹腔内投与を行ない、肝硬変マウスを作製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、2019年度の結果を踏まえ、肝硬変マウスの作製および肝硬変マウスへのシート移植を行う予定であった。肝硬変マウスへの移植を行う前に、免疫不全マウスの皮下に積層化シートおよび肝細胞シートを移植し、in vivoにおいても積層化シートの方が生着に有利であることを示すこととした。 上記の内容をおおむね達成しており、研究は順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
2021年には、予定通りADSCと肝細胞の積層化シートを、肝硬変モデルマウスの肝表面に移植することで、生着の有無や、皮下移植との比較およびグラフトの評価を確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該研究は概ね予定通り進展しているが、ADSCと肝細胞との積層化シートが肝細胞シートと比較してin vitroにおいてもin vivoにおいてもViabilityが向上した理由について、追加実験を行うため 、次年度使用額が生じた。
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