研究課題/領域番号 |
19K18066
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
中村 緑佐 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30777959)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 骨髄由来免疫抑制細胞 / 制御性T細胞 / 制御性B細胞 / 臓器移植 |
研究実績の概要 |
骨髄由来抑制細胞による制御性T/B細胞誘導を用いた移植免疫寛容誘導に関する研究である。 マウス心移植におけるMyeloid-derived suppressor cells (MDSCs) の免疫寛容誘導における役割について検討し、MDSCs誘導により移植臓器生着期間の延長、CD4+制御性T細胞(Tregs)を誘導する能力を有することをすでに報告した。最近の我々の研究で免疫調節効果を持つIL-10+/CD8+ Tregs, 制御性B細胞(Bregs)の誘導作用も示されMDSCsの免疫寛容誘導への一助である可能性があると考えられる。 本研究では臓器移植において制御不十分な拒絶反応に対しMDSCs及びTregs/Bregs誘導で免疫寛容誘導を行うことを主な目的とする。 1.MDSCsのCD20+/IL-10+新規Bregsの誘導を心移植モデルにおいてその機序を解明する。2.移植臓器内抗MHC抗体の迅速かつ正確な検出法としてマウスでのImmunocomplex Capture Fluorescence Analysis法を確立し拒絶反応の客観的な評価方法を確立することを軸に研究を進めた。 前感作の無いマウス心移植後(アログラフト)自然経過では術後3週の時点ではDonor Specific ani-MHC antibodyの産生を認め、上記の手法で移植グラフト内のMHCに特異的に結合、補体結合性を持ち抗体関連型拒絶反応に至ることが確認された。MDSCs/Bregsの輸注により、抗体関連型拒絶反応の制御効果を認めており現在さらに詳細に検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
制御性B細胞輸注に必要な数量確保に時間を要しており、進捗状況はやや遅れていると判断する。 Graft Immunocomplex Capture Fluorescence Analysis法の標準化については順調に進んでおり、グラフト内MHC class I, II, また補体活性についても評価可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
骨髄由来抑制細胞による効率的な制御性B細胞の誘導方法の確立に主に取り組み、マウス心移植モデルでの 拒絶反応に対するMDSCsのB細胞への効果の検討する。 制御性B細胞の誘導方法が難関であることから個体内での誘導方法も同時に検討し有効な手法を選択し今後の研究を推進する。 臨床においてTregsのみでの免疫寛容治験があるが、一度のTregs輸注のみでは不十分との見解もあり、MDSCsなど非リンパ系細胞がTregsの効果を補完しうるかマウス心移植モデルにおいて検証、免疫寛容誘導手法を考案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度研究計画においてCOVID19の影響もあり動物実験が遅れ、経費が当初の見積もりより若干少なくなったため、次回購入に使用が必要なため次年度使用額が生じた。
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