骨髄由来免疫抑制細胞(MDSCs Myeloid-derived suppressor cells)は担癌状態・感染症などの環境下で誘導される免疫抑制能を有する細胞集団である。MDSCには、単球系と好中球系の細胞集団に大きく分かれ、それぞれの抑制機能を発揮する。今回、骨髄細胞をIL-6とGM-CSFを用いてMDSCを誘導し、マウスアロ心臓移植モデルに移入することで、その抑制効果をグラフト生着期間で評価した。MDSCを移入したマウス群の移植片は、無治療群と比較し、有意にグラフト生着期間を延長させた。 また、誘導したMDSCをLy6C陽性の単球系とLy6G陽性の好中球系に分離し、invitroでその抑制効果を比較した。単球系MDSCは、好中球系と比較して、リンパ球混合試験におけるアロ免疫反応を有意に抑制するとともに、制御性T細胞を効率よく分裂増殖させている特徴を発見した。これらの機能は、iNOS阻害剤を用いると解除され、単球系MDSCの抑制メカニズムにiNOSが関与していることが解明された。骨髄由来免疫抑制細胞MDSC、中でも単球系MDSCは、臓器移植のみならず免疫炎症にか関わる病態に対する新しい細胞治療となりえる。
|