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2021 年度 実績報告書

乳がんにおけるIL17RBの細胞生物学的・腫瘍免疫学的・臨床的意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18073
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

尾崎 由記範  公益財団法人がん研究会, 有明病院 乳腺内科, 副医長 (60756683)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード乳癌 / IL17RB / IL33 / 免疫
研究実績の概要

本研究では、依然として根治困難な転移・再発性の乳がんを克服することを最終目標に、本年度は、昨年樹立したマウス乳がん細胞株4T1を用いたIL17RB強制発現細胞株(IL17RB-TR)をマウス皮下に移植した乳がんモデルを使って、がん細胞におけるIL17RB発現の免疫学的意義をin vivoレベルで解析した。IL17RB-TRの腫瘍増殖は、Mockと比較して極めて遅いものの、in vitroと同様に、5-Fu治療ではむしろMock腫瘍以上に増殖は促進されてしまい、その腫瘍内には多数のマスト細胞が浸潤していた。しかし、IL17RB発現増強に伴って同時に発現してくるIL33に特異的な阻害抗体を投与すると、マスト細胞の浸潤は有意に減少し、腫瘍増殖も有意に抑制された。つまり、IL17RB-TRは治療に反応してIL33を放出し、これがマスト細胞の浸潤を招いて腫瘍の増殖を促進していることが示唆された。一方、昨年度まで使用してきた同一患者の腫瘍組織を用いて、本年度は抗腫瘍免疫で重要な役割を果たすCD8陽性T細胞の浸潤レベルを免疫組織化学染色法で解析した。その結果、CD8陽性T細胞の浸潤レベルは4段階(浸潤なし39%、低浸潤39%、中程度の浸潤21%、高浸潤1%)に分けられ、低浸潤群(浸潤なし+低浸潤)と比較して、高浸潤群(中程度の浸潤+高浸潤)では術後約5年までは統計学的有意に無再発期間が長いものの、その後は差が見られなくなること、しかし、IL33発現レベルとCD8浸潤レベルは有意な逆相関性を示し、IL33高発現・CD8低浸潤症例では術後約5年以降も有意に予後不良となることが分かった。IL17RB発現性とは何も関係性は見られなかった。以上のことから、乳がん治療においてIL17RB-IL33軸を標的にする臨床的意義が提示され、治療成績の向上に貢献できる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] がん転移攻略のための画期的な治療戦略2021

    • 著者名/発表者名
      尾崎 由記範
    • 学会等名
      日本癌学会2021

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公開日: 2022-12-28  

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