研究課題/領域番号 |
19K18077
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井本 博文 東北大学, 大学病院, 助教 (20754922)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肥満 / 十二指腸空腸バイパス / 糖尿病 / 代謝改善手術 / 減量手術 / 胆汁酸 |
研究実績の概要 |
当グループでは、代謝改善手術である十二指腸空腸バイパス(Duodenal-jejunal bypass: DJB)を施行し、その代謝改善効果の機序の解明に取り組んできた。これまで、DJBを施行すると著明な体重増加抑制効果および糖尿病改善効果を認める一方、胆膵路(Bilio-pancreatic limb: BPL)を切除することで、消化液と混じた食餌が流れる共通管(Common channel: CC)の長さが同等なのにもかかわらず、DJBによる減量・代謝改善効果が全くキャンセルされる事実を報告した。つまり、BPLの存在が減量および代謝改善効果に重要であることを示した。また、DJB術後の血中胆汁酸レベルの上昇を確認した。 さらには直近の実験において、DJBでは定説であった回腸からではなく、むしろ BPL内で吸収されていることを発見した。さらには、BPLが長いほど代謝改善効果が高く、またBPL内での胆汁酸九州メカニズムにおいては、トランスポーターの発現亢進などよりも、むしろ胆汁酸濃度が上昇していること、すなわち食物で希釈されてい ない純粋な胆汁がBPLに流入することが大きな要素となっていると考えられた。 本研究では、これらの結果を裏付けるために術式を工夫し、胆汁がBPLに流入しないモデルとしてのDJB-Dと、胆汁酸トランスポーター拮抗剤を併用した腸肝循環の評価を想起した。 本研究はDJB後のBPLにおける 胆汁の意義と胆汁酸再吸収のメカニズムに関する検討であり、手術モデルとしても独創性が 高く、metabolic surgeryの糖代謝改善効果の核心に迫ることができると考えており、今後 実臨床における糖尿病に対する外科治療の確立に向けて非常に意義のあるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物モデルとしては以前の研究に準じてラットを使用しており、手術術式に関しても手技に大きな変動はなく、順調にモデル作成が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、動物モデルの頭数を増やし、必要な頭数を揃えた上で、検体を採取してプロトコルに沿った検討項目の測定を行っていく。 また、トランスポーター阻害薬を用いた腸肝循環の評価実験は非常に繊細な手技・測定を要するため、安定して実験を進められるよう努める。
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