研究課題
本研究は食道癌に特異的に発現する糖鎖(癌細胞の最外層を覆ている構造物)およびそれを標的するレクチン(糖鎖結合蛋白)の同定およびリッキドバイプシーを用いたバイオマーカーとしての有用性を検討することを目的としている。当研究室では膵癌検体からの3次元腫瘍オルガノイド作成に成功しており、本研究ではまず食道癌検体からの腫瘍オルガノイド 作成を目指したが、膵癌検体と同様の方法では作成が困難であった。また膵癌オルガノイドで培養確立まで50日と時間がかかる、増殖速度が既報に比べて遅い、試薬が極めて高価などの問題もあり断念せざるを得なかった。そこで食道癌臨床検体を用いて特異的糖鎖ーレクチンの同定を試みた。食道扁平上皮癌症例の手術検体24例を用いて糖鎖ーレクチンの組み合わせを網羅的に探索し、各検体の癌部および非癌部の反応を比較検討した。レクチンー糖鎖の組み合わせとしてBC2LCNーFucα1-2Galβ1-3GlcNAc(GalNAc)、TJAIIーα1-2FUC、UEA1ーα1-2FUC、AALーα1-6,2,3FUC、ACGーα2-3Sia、SNAーα2-6Sia、ADAーα2-6Sia、PSL1aーα2-6Sia, Neu5Acα2-6Galβ1-4GlcNAc、PHA-LーD-GalNAc、WFAーTerminal GalNAc、CNLーαβGalNAc、BPLーGalβ1-3GlcNAc(GalNAc) , α/βGalNAc、SSAーSiaα2-6Gal/GalNAc、PNAーGalβ1-3GalNAcを用いた。その中でUEA1ーα1-2FUCの組み合わせが癌部22/24、非癌部13/24と陽性率が異なり、食道癌特異的糖鎖ーレクチンの候補として選出できた。同糖鎖ーレクチンのバイオマーカーとしての有用性を検討すべく、血清中の糖鎖検出の可否およびレクチンブロットの準備を進めている。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件)
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