研究課題/領域番号 |
19K18079
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡邊 秀一 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助教 (20771827)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膵癌 / エピゲノム / がん抑制遺伝子 / KDM6A |
研究実績の概要 |
大規模統合解析の結果をもとに最も予後不良なサブタイプの特徴としてKDM6A不活化変異が報告された。KDM6Aは主に転写亢進をもたらすヒストン修飾調節因子として知られているが、ヒト膵癌においてその分子生物学的機能の解明は行われていない。本研究では公共データベースおよび臨床検体を用いてKDM6A発現の臨床的意義を検討した上で、KDM6Aのノックアウトおよび強制発現を行ったヒト膵癌細胞株において機能解析を行った。 前年度までの解析では、公共データベースの検討およびKDM6A-不活化膵癌細胞株の解析により①KDM6A不活化が予後不良膵癌サブタイプと関連すること、②KDM6A不活化により膵癌細胞株が悪性化すること、③悪性化に至る機序としてCDKN1Aなどの癌抑制遺伝子のプロモーター領域におけるH3K27ac低下、転写抑制が関連することを明らかにした。 今年度の解析では、①KDM6A不活化細胞株に対する種々の薬剤を用いた薬剤感受性試験を行い、細胞株の増殖抑制効果から薬剤の感受性曲線を評価した。この結果、KDM6A不活化細胞株に対しHDAC阻害薬が特異的効果を示すことを示した。②KDM6A不活化細胞株にHDAC阻害薬を投与し、発現解析と癌抑制遺伝子のプロモーター領域におけるエピゲノム解析を行った結果、HDAC阻害薬投与によって起こるH3K27ac上昇によりがん抑制遺伝子の発現回復をみとめることを明らかにした。 以上の結果から予後不良なKDM6A不活化膵癌サブタイプにおいてHDAC阻害薬が特異的治療効果を持つ可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画と比較し遅滞なく研究が遂行できているため。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroの研究のみでなくin vivoの研究を拡大する。 臨床検体(FFPE検体など)を用いた研究に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
・コストのかかる動物実験を行わなかったため物品費の予算が減少した。 ・次年度に同実験を行っていく予定である。
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