研究課題/領域番号 |
19K18081
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
森 治樹 滋賀医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40803945)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腸内細菌 / 転移性肝腫瘍 |
研究実績の概要 |
研究の目的:肝臓は、大腸癌において最も多い転移臓器である。肝転移など遠隔転移を伴う大腸癌は極めて予後不良であり、対策が必要である。生体内には約100兆個の様々な細菌種が存在している。特に大腸では腸内細菌が癌周囲環境の一つとして重要な役割を担っており、apoptosis経路を介した化学療法に対する耐性に関与することが知られている。これまでにマウスモデルにおいて、原発巣だけでなく、転移巣でも腫瘍内細菌が存在することが示されているが、その生物学的意義については未だ明らかではない。本研究では、大腸癌肝転移症例の臨床検体を用いて原発巣、転移巣における腸内細菌種とその臨床病理学的因子について検討し、ヒト生体内における癌組織内細菌の臨床的意義を明らかにする。さらに抗菌薬により細菌感染した腫瘍細胞中の細菌を制御することで、化学療法による抗腫瘍効果を高め、最終的に臨床への応用を目指す。 実施計画:大腸原発巣と肝転移巣の癌組織における特定細菌の存在、菌種の同定;肝切除を施行した原発巣が大腸癌の転移性肝癌患者の検体(原発巣、転移巣)を収集し、適宜DNAを抽出。QIAamp DNA FFPE tissueを用いて、DNAを抽出し、AMI(Average Nucleotide Identity)を行い、全ゲノム配列の類似度から菌種の同定を行う。臨床検体を用いてパラフィン固定した原発巣(大腸)と転移巣(肝臓)検体からQIAamp DNA FFPE tissueを用いて、核酸を抽出し、16SrRNAシークエンスとメタゲノミクス解析を行うことで、全ゲノム配列の類似度から菌種の同定を行う。具体的にはこれらの癌組織における特定の細菌の有無と抗がん剤感受性や、再発の有無、予後など臨床経過を踏まえた解析を行うことで、癌組織における細菌感染の臨床的意義について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パラフィン検体におけるDNAを抽出し、16Sシークエンスを行ったが、肝臓における菌腫数を多く認めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
DNA抽出過程を検討し、DNAの質を向上させる。また、qPCRでも検討を行い、腸内細菌の確認を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
16Sシークエンスによるパラフィンから同定される菌腫数が少なく、方法の改善が必要であったため。
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