研究実績の概要 |
腫瘍細胞は生命維持に必要なエネルギーを解糖系に依存している。解糖系は、腫瘍増殖と血管新生に密接に関連しており、近年治療ターゲットとして注目されつつある。本研究では、肝細胞癌における解糖系促進因子phosphofructokinase-2/fructose-2, 6-bisphosphatase 3 (PFKFB3)の意義について検討した。肝細胞癌切除標本において、腫瘍細胞および腫瘍血管内皮細胞におけるPFKFB3共陽性群は有意に予後不良であった。In vitroにおいて、PFKFB3阻害剤により解糖系代謝抑制を認め、肝癌細胞株と腫瘍血管内皮細胞の増殖抑制効果を認めた。マウス皮下腫瘍モデルにおいて、肝癌細胞株は腫瘍血管内皮細胞と混合することにより腫瘍の増大を認めたが、PFKFB3阻害剤により腫瘍増殖抑制効果を認めた。PFKFB3阻害剤により、Ki67の低下・腫瘍内血管径の縮小・ペリサイトの安定化を認め、腫瘍血管正常化を認めた。 肝細胞癌におけるPFKFB3の髙発現は予後不良因子であり、腫瘍増殖の抑制および腫瘍血管正常化によりPFKFB3は肝細胞癌の有望な治療標的となりうることが示された。
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