研究課題/領域番号 |
19K18084
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
萩 隆臣 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50804465)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胃癌 / ARID1A / Nivolumab / 免役チェックポイント阻害剤 |
研究実績の概要 |
切除不能進行・再発胃癌に対する免疫チェックポイント阻害剤であるNivolumabの効果予測に有用なバイオマーカーは見つかっておらず、開発が望まれている。近年、腫瘍におけるARID1A遺伝子変異によりARID1A発現が低下し、その結果Microsatellite instability (MSI)が高くなることが明らかになった。また同じ免疫チェックポイント阻害剤であるPembrolizumabにおいて、腫瘍のMSIと治療効果が相関関係にあることが示された。本研究では同遺伝子変異を胃癌細胞株に導入し、in vitro/in vivoにおける機能解析を行う予定である。さらに多施設共同臨床研究グループにおいてNivolumab投与を行う胃癌患者200例の腫瘍組織よりDNAを抽出し、ARID1A遺伝子変異及び発現の解析を行い、Nivolumabの効果および予後との比較検討を行うことを目的とする。 本年度の成果としては、他施設共同臨床研究グループにおいて行っていた、Nivolumab投与を行う胃癌患者200例の登録が終了し、各施設からの検体回収を行った。また、それぞれの手術もしくは生検検体ブロックの薄切を行い、免疫染色の準備を進めている。免役染色を行う予定の抗体はARID1A以外に、PD-L1やMismatch repair蛋白(MLH1, MSH2, MSH6, PMS2)、Tumor infiltrated lymphocyte (CD3, CD8など)などを予定している。既にこれらの抗体の条件設定や評価方法については確認が終わっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた、胃癌細胞株に対するCRISPR-Cas9によるARID1A遺伝子の導入が成功しておらず、それらを用いたin vitro/in vivoによる機能解析が進んでいない状況である。現在、手技を再度確認している段階であるが、遺伝子導入が上手くいかないようであれば、その他の技術を用いた遺伝子編集を予定している。一方で、臨床検体を用いた解析は症例登録および検体回収が進んでおり、こちらの進展はおおむね順調であると考えられる。上記2つの状況を鑑みて、当初予定していた計画よりはやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
前述の通り、まずは胃癌細胞株におけるARID1A遺伝子導入を成功させることが第一優先と考える。それらが成功すれば、作成した細胞株を用いて速やかにin vitro/in vivoによる機能解析を行う予定である。 得られた臨床検体においては、薄切スライドの準備が完了しているため、免役染色を進める予定である。具体的には、ARID1A以外に、PD-L1やMismatch repair蛋白(MLH1, MSH2, MSH6, PMS2)、Tumor infiltrated lymphocyte (CD3, CD8など)の抗体を用いる予定である。これらの抗体は既にpositive controlを用いて条件設定や評価方法などの確立は終わっている。また、サンプル量が十分な症例に対しては、FFPEブロックからDNA抽出を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の研究費を用いて、ゲノム編集に必要な試薬の購入、また機能解析に必要なkitなどの購入を行う予定である。In vivoに関しては、動物の購入や維持などの費用も必要となると考えられる。免疫染色では、各蛋白の抗体費用が必要であり、本研究費を使用する予定である。
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