研究課題
切除不能進行・再発胃癌に対する免疫チェックポイント阻害剤であるNivolumabの効果予測に有用なバイオマーカーは見つかっておらず、開発が望まれている。我々は、多施設共同臨床研究グループにおいてNivolumab投与を行う胃癌患者205例の腫瘍組織の免疫染色により、Mismatch Repair(MMR)蛋白やPD-L1発現、更にはARID1AなどのMMRステータスに影響を及ぼし得る蛋白の発現解析を行い、Nivolumabの効果および予後との比較検討を行うことを目的とした。205例のうち、138例に測定可能病変を認めた。奏効率の割合は16.7%であり、奏効群においてPerformance status 0-1、腹膜播種以外の病変、PD-L1発現Combined positive score(CPS)≧10、MMR deficiencyの割合が有意に高かった。CPS≧10、MMR deficiency の症例においてprogression-free (P=0.005, P=0.001)およびoverall survivals (P=0.005, P=0.002)は有意に長かった。ARID1Aは治療効果および予後との間に相関関係を示さなかった。以上のことからCPSを用いたPD-L1発現評価およびMMR蛋白発現はNivolumab投与を行う胃癌患者の効果を予測する上で有用なバイオマーカーとなり得ると考えられた。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
British Journal of Cancer
巻: 123 ページ: 965-972
10.1038/s41416-020-0975-7