研究課題
【研究の成果について】食道癌細胞株に5-FUを短期暴露し、Notch3の低下とEMTの誘導を、抗癌剤耐性株でEMTの誘導を認めたことから、抗癌剤によるNotchシグナル、特にNotch3を介したEMTの誘導と抗癌剤耐性との関連を現象として認めた。次に、RNA干渉を用いてNotch3を抑制したところEMTの誘導を認め、抗癌剤感受性は悪化した。さらにNotch3の抑制を起こさないようにNotch3を強制的に活性化させた株では、抗癌剤感受性は改善を認め、抗癌剤によるEMTの誘導は阻害され、抗癌剤耐性獲得阻害の可能性が示唆されたことから治療応用への糸口も発見した。またNotch3がVimentinを直接制御している可能性がChIP-PCRによって示唆された。同様の検討をマウスの皮下腫瘍を用いて検討し、同様の結果を得た。最後に臨床検体でNotchシグナル、EMTとの関連を検討し、免疫染色においてNotch3陰性群では抗癌剤感受性が悪く、有意に予後が悪かった。また同群はN-cadherinとVimentinの発現と相関することを確認した。以上のことから5-FUによりNotch3が低下しEMTが誘導されるというメカニズムを証明し、さらにNotchシグナルのなかでもNotch3を選択的に治療標的とすることで抗癌剤の感受性をよりよくすることができる可能性を突き止めることができた。この事実は今後の治療へと活かせる可能性を秘めている。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Cancer Medicine
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