研究課題
【背景】近年、肥満肝癌発生マウスモデルを用いた研究において、肥満が引き金となって肝癌が発生する生物学的メカニズムの一部が解明された。そのメカニズムのひとつとして腸内細菌叢および胆汁酸の組成変化に伴う肝星細胞 (HSC)の活性化が、 その周囲に存在する細胞のSenescence-Associated Secretory Phenotype (SASP)と呼ばれる老化現象を来すためではないかと推測されている。本研究ではHSCの網羅的遺伝子発現解析を行い、さらにどの胆汁酸がHSCの活性化に強く影響するのかについて検討した。【研究対象及び方法】研究計画通り、減量手術研究に先立ってin vitroに実験を行った。ヒトHSC line LX-2に対し2次非抱合型胆汁酸であるデオキシコール酸による処理を行ったのち、DNAマイクロアレイによる網羅的解析を行い、Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomesを用いてPathway解析を行った。【結果】DNAマイクロアレイによるpathway解析を行ったところ、Tumor Necrosis Factor (TNF) signaling pathwayに属する多くの遺伝子群のupregulationを認めた。この傾向は特にnuclear factor-kappa B signaling pathwayにおいて顕著であった。またIL-6に代表されるSASP関連遺伝子の有意なupregulationを認めた。
2: おおむね順調に進展している
DNAマイクロアレイにてSASP関連遺伝子の有意なupregulationが検出された。その結果を踏まえて学会発表を行った。
予定通りに研究を遂行する。in vitroに実験を継続し、種々の胆汁酸添加後の各種サイトカインを測定や免疫蛍光染色を用いた共焦点レーザー顕微鏡による観察、フローサイトメトリーによる定量化を行う予定である。
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Ann Gastroenterol Surg
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Surg Case Rep
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https://doi.org/10.1186/s40792-019-0599-4