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2019 年度 実施状況報告書

ADAMTS13関連因子を軸とした肝虚血再灌流障害に対する新規治療戦略

研究課題

研究課題/領域番号 19K18100
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

吉川 高宏  奈良県立医科大学, 医学部附属病院, 研究員 (80773275)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードADAMTS13 / 肝切除
研究実績の概要

VWFは血管内皮細胞で産生され,UL-VWFマルチマーとして血中に放出される.一方で肝切除,特にPringle法による虚血再灌流障害の主要ターゲットが血管内皮細胞であることが知られている. したがって, 術中Pringle法により,血管内皮細胞が障害され,UL-VWFマルチマーが増加するのではないかという仮説が成り立つ.この仮説をふまえ.当科にて根治的肝切除を施行した35例を対象とし,術前・術後に血液をサンプリングし,ADANTS13,VWF,UL-VWFマルチマー解析を行った.また正常血漿に検出されない高分子量バンドをUL-VWFマルチマーと定義し,UL-VWFマルチマー indexを測定し,UL-VWFマルチマーの定量化を行った.
結果はADAMTS13活性は術前値61.0%から術後7日目に37.4%と有意に低下した(p<0.001), VWF抗原量は術前値172.1%から術後7日目に351.1%と術後有意に増加した(p<0.001).UL-VWFマルチマー indexは術前値0.2%から術後7日目に4.2%(0.1-16.3)と有意に増加した(p<0.001).
術後UL-VWFマルチマー positive群は22例,negative群は7例であり,多変量解析では,Pringle時間が術後UL-VWFマルチマー出現に関する独立した規定因子であった(p=0.043).さらにUL-VWFマルチマー indexは,Pringle時間と正の相関を示した(r=0.444,p=0.017).以上の結果から,病的血栓の一因となるUL-VWFマルチマーとPringle法による虚血再灌流障害との関連が示唆された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肝切除症例におけるADAMTS13関連因子の動態について検討し,上記研究結果を得ることができた.研究内容をまとめ,『Ischaemia-reperfusion injury with Pringle's maneuver induces unusually large von Willebrand factor multimers after hepatectomy』としてThrombosis Researchに投稿した.

今後の研究の推進方策

今後はin vivoの研究に移る予定である.具体的には,野生型及びADAMTS13ノックアウトマウスを用い,70%肝部分虚血モデルを作成する.末梢血及び肝組織を採取し,肝における虚血再灌流障害とADAMTS13活性 ・VWF抗原量・UL-VWFMsとの関連メカニズムを組織学的に検証する.
肝における虚血再灌流障害が立証されれば,recombinant ADAMTS13補充の治療効果を検討する予定である

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Ischaemia-reperfusion Injury With Pringle's Maneuver Induces Unusually Large Von Willebrand Factor Multimers After Hepatectomy2019

    • 著者名/発表者名
      Takahiro Yoshikawa
    • 雑誌名

      Thrombosis Research

      巻: 183 ページ: 20-27

    • DOI

      10.1016/j.thromres.2019.09.005.

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2021-01-27  

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