研究実績の概要 |
術中Pringle法による虚血再灌流障害に対する,ADAMTS13補充の肝保護効果
肝切除において術中Pringle法の侵襲が大きい,また肝硬変や術前化学療法などのハイリスク症例においては,切除前にrecombinant ADAMTS13を投与することで術前治療法としての応用が期待し得る. Pringle法による内皮細胞障害がUL-VWFマルチマーを増加させ,肝微小循環障害から虚血再灌流障害に至る因子との観点から,実際の肝切除法に近いモデルを作成した. C57BL/6J雄生8週齢マウスにおいて,全肝流入血遮断下(遮断時間30分)に30%肝切除を行った.Pringle法による影響を調べるために,Pringleなしの30%肝切除のみを行うグループも作成し,さらに術後にrecombinant ADAMTS13投与を行う群と投与しない群に分け,切除前後のADAMTS13活性,VWF抗原量,UL-VWFマルチマー発現,GOT, GPT, T-bil値を測定するとともに,肝における微小循環を組織学的に検証し,術中Pringle法による虚血再灌流障害に対するrecombinant ADAMTS13補充の治療効果を検討したが.両群間に有意な差は認めなかった. 肝切除前にrecombinant ADAMTS13を投与する群も作成したが,投与しない群と比較しADAMTS13活性,VWF抗原量,UL-VWFマルチマー発現,GOT, GPT, T-bil値の各項目において有意な差は認めなかった.
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