研究課題
がんワクチン療法において、がん抗原を効率的に抗原提示細胞に送達させるシステムのみならず、樹状細胞を活性化させるアジュバント(免疫補助剤)の存在も重要である。今回、抗原提示細胞のうち、XCR1+樹状細胞が効率的にCTLを誘導することに着目した。マウスモデルを念頭に、がん抗原およびアジュバントをXCR1の特異的リガンドであるケモカインXCL1に連結させた「XCL1-抗原ペプチド-アジュバント」連結ワクチンを、XCR1+樹状細胞へ選択的に送達するシステムを構築し、効率的かつ副作用なくCTLを大量に誘導することを目的として新規がんワクチンの開発・精製する研究を行った。すでに「XCL1-抗原ペプチド-FLAG」の配列をもつplasmid DNA を構築し、FLAGtag により精製する手法を確立している。ベースとなる「XCL1-抗原ペプチド」ワクチンについて、培養細胞293T細胞に上記plasmidをtransfectionし、培養上清を用いて大量精製を行った。この精製物にアジュバントとしてpoly(I:C)を用い、チオール修飾(RS-H)を行い、XCL1 のアミノ基(R-NH2)と架橋させ、「XCL1-がん抗原ワクチン-アジュバント連結ワクチン」の作成を試みた。目的のワクチンが作製されたかの確認は、Western blotting 法にて、anti-double strand RNA(dsRNA) 抗体と anti-FLAG 抗体を用いて検出を試みた。上記手法でアジュバントが連結されたがんワクチンの確実な検出を試みた。一方、免疫学的応答の手技の確立のため、精製された既存の「XCL1-がん抗原ペプチドワクチン」の一部を用いてMigration assayやFlow cytometry(FACS)といった免疫学的反応をみる実験も並行して行い、XCL1の生物学的機能は確認できた。
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