2019年度はまず研究実施計画の第一段階である肝線維化モデルマウスの作成について取り組んだ。いくつかの文献を参照し、四塩化炭素の腹腔内投与により行い、週2回4週間投与、6週間投与、8週間投与をそれぞれ行ったのちにマウスを解剖し、肝のHE染色、αSMA免疫染色による正常肝との比較、肝線維化マーカーの遺伝子発現の比較を行った。これにより6週投与で線維化がみられることを確認した。 続いてヌードマウスに対するヒト大腸癌細胞株の肝転移モデル作成に取り組んだ。使用する大腸癌細胞株の選定のため、当研究室で所有する大腸癌細胞株のLgr5発現について検討し、Lgr5発現頻度の異なる3種類の大腸癌細胞株WiDr、Lovo、HCT116を使用することとした。当初は脾臓への注射による肝転移モデル作成を試みたが、定着率の悪さや手技上の問題による腹膜播種の発生などいくつかの問題点が指摘され、門脈への注射による肝転移モデル作成に移行した。こちらについても手技の確立に伴い、投与後6~8週間での肝転移成立を確認した。ルシフェラーゼ導入細胞株の門脈注射による生体内での転移の観察も可能となることを確認した。 現在、肝線維化モデルマウスに対する門脈注射による肝転移を行っており、Lgr5の発現の異なる細胞株で線維化による転移の起こりやすさが異なるかなどを確認し、肝線維化による肝転移の起こりやすさのメカニズムの解明に取り組むことを考えている。 並行して多光子顕微鏡による生体内での観察についても現在画策しております。こちらについては研究環境の確立ができ次第すぐに取り組む予定としている。
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