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2019 年度 実施状況報告書

線溶系からみた大腸癌と炎症の関連性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18104
研究機関順天堂大学

研究代表者

宗像 慎也  順天堂大学, 医学部, 助教 (50758761)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード大腸がん / 潰瘍性大腸炎 / 線溶系 / プラスミン
研究実績の概要

潰瘍性大腸炎より癌化するモデルAOM/DSSモデルではプラスミノーゲン、組織プラスミノーゲンアクティベータ(tPA)の活性化が早期に観察された。そこでプラスミノーゲン、tPA欠損マウスにて腫瘍化が抑制されていることが判明した。これら線維素溶解系の欠損にて組織中への骨髄由来細胞、特にマクロファージの集積が減少していることが判明した。マクロファージはクロドロン酸により欠損させると腫瘍が減少することから、マクロファージの動員により腫瘍の増大が考えられた。そこでマクロファージにはHBEGFの産生能があり、腫瘍細胞はEGFRにて腫瘍の増勢が関与していることが判明した。さらにtPA自体にはマクロファージ表面のLRP1を介してHBEGFを産生させる可能性があることが示唆された。マウスのこのモデルのみならずヒトの癌パネルに置いてもtPAはほとんど全ての腫瘍に対して発現していた。ただしHBEGFの発現は軽度であり、ほとんどの腫瘍にみられるものではない可能性は示唆された。さらに線維素溶解系がどのように骨髄由来細胞を動員しているかも精査し、これまでの研究からマトリックスメタロテアーゼ9(MMP)の関与が考えられたが、MMP9欠損マウスでは逆の結果となり、プラスミノーゲン、tPAの下流に存在する細胞外マトリックスを分解するターゲットを証明するため、他のMMPの関連性を精査していく。この内容は、2019年度日本大腸肛門病学会にて発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

計画通り進行している。
すでに多種欠損マウスにで実験を成功させているほか、ターゲット分子も明らかになってきている。ただしこれまでの成果、研究と真逆となる結果も出ており、説明つけるのにはさらに研究、解析が必要となる。

今後の研究の推進方策

今後は骨髄由来細胞の動員に関してケモカインやMMPを精査しつつ、組織にマイクロアレイをかけることによって腸管に発言する標的を網羅的に解析し、ターゲットをより絞り込んでいく。またマウスモデルがAOM/DSSのみであるため、IL10欠損マウスでも同様の実験を行い炎症性腸疾患での癌化のメカニズムを解明していく。ただsporadicな癌に関しては同様の結果を導き出せない可能性があり、この炎症の機序との相違があることが考えられ、別のsporadicな癌に対しても線維素溶解系の別の役割を導き出せる可能性はある。

次年度使用額が生じた理由

計画は概ね順調に進んでいるものの、これまではマウス、遺伝子改変マウス共に残存マウスを使用することによって経費削減できた結果である。今後の実証にはさらに多くの実験が必要となり、次年度に持ち越す形となった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Angiopoietin-2 as a Prognostic Factor in Patients with Incurable Stage IV Colorectal Cancer2020

    • 著者名/発表者名
      Munakata Shinya、Ueyama Takae、Ishihara Haruna、Komiyama Hiromitsu、Tsukamoto Ryoichi、Kawai Masaya、Takahashi Makoto、Kojima Yutaka、Tomiki Yuichi、Sakamoto Kazuhiro
    • 雑誌名

      Journal of Gastrointestinal Cancer

      巻: 52 ページ: 237~242

    • DOI

      10.1007/s12029-020-00392-1

    • 査読あり
  • [学会発表] 線維素溶解系からみたColitic cancer増殖機構の解明2019

    • 著者名/発表者名
      宗像慎也
    • 学会等名
      日本大腸肛門病学会

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公開日: 2021-01-27  

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