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2019 年度 実施状況報告書

新規創薬に向けたN6-メチルアデノシトシン修飾の肝細胞癌における意義の解明

研究課題

研究課題/領域番号 19K18110
研究機関名古屋大学

研究代表者

園原 史訓  名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (30745534)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード肝細胞癌 / RNAメチル化 / N6メチルアデノシトシン / 予後因子 / バイオマーカー
研究実績の概要

当科で切除された177例(1998-2014年)のHCCから得られた臨床情報と切除検体を用いた。当科のHCC症例はHBV 41例(23%)、HCV 106例(60%)、非BCが30例(17%)だった。切除標本の腫瘍部・非腫瘍部で全RNAにおける m6A定量解析では有意差を認めなかった(P=0.79)。予後解析の結果、非腫瘍部のm6Aメチル化高低と予後に関連を認めなかったが腫瘍部のm6Aメチル化高値は予後不良なRFSとOSに関係していた(RFS, MST, 31 vs 14m, P=0.13; OS, NA vs 32, P=0.009)。
続いてm6Aメチル化関連遺伝子について、公共遺伝子データベースであるTCGAのデータを用い、HCC腫瘍部と非腫瘍部での発現状況を調べると、m6A脱メチル化に関与するALKBH5とFTOの発現が腫瘍部で有意に低くなっていた(P<0.001, P=0.02)。
当科のHCCの腫瘍部・非腫瘍部での遺伝子発現を定量PCRで解析すると、ALKBH5、FTOともに腫瘍部で有意に発現が低かった(ともにP<0.001)。ALKBH5発現について予後解析を行うと,腫瘍部の発現低値群のRFSは有意に不良だった(P=0.003)。さらに非腫瘍部の発現低値群は高値群に比べて有意に予後不良なRFSであり(MST, 16 vs 38 m, P=0.001)、OSでも有意差は認めないものの予後不良の傾向だった(MST NA vs NA, P=0.09)。ALKBH5の高低で臨床病理学的所見を比較すると年齢65歳未満とステージIII以上の割合がALKBH5低発現群で有意に高かった。さらにCox比例ハザードモデルによる単変量/多変量解析では非腫瘍部のALKBH5発現低値は静脈浸潤と並び、独立した有意な予後因子として抽出された(HR, 1.9, P=0.004)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定通り切除検体を用いたHCC腫瘍部・非腫瘍部のm6A関連遺伝子解析、およびm6Aメチル化解析を行うことができた。m6A関連遺伝子については公共遺伝子データベースThe Cancer Genome Atlasの解析も現在行っており、該当遺伝子のRNA-seqにおける発現状況とデータベースの予後等の臨床情報の関連を調査中である。

今後の研究の推進方策

m6A関連遺伝子については公共遺伝子データベースThe Cancer Genome Atlasの解析を行い、データベース上の臨床情報との関連を調査する。その上でこれまでの研究結果を報告するための論文を作成する。また、m6A関連遺伝子について、有望な分子に対しては膵癌細胞株を用いた詳細な機能解析を検討する。

次年度使用額が生じた理由

m6A定量解析およびm6A関連遺伝子解析の対象とするサンプル数に応じた費用について、当初の予定よりも使用額が減少したため差額が生じた。今後については公共データベースThe Cancer Genome Atlasのデータ解析結果をもとに、バイオマーカーおよび治療ターゲットとして有望なm6A関連遺伝子について追加サンプルに対する解析追加を行う。また膵癌細胞株を用いた機能解析を検討しており、これらの実験に対する費用として使用する。

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公開日: 2021-01-27  

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