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2020 年度 実施状況報告書

生体肝移植術後の血栓性微小血管障害症の病態解明とグラフト肝機能の改善を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 19K18111
研究機関三重大学

研究代表者

種村 彰洋  三重大学, 医学系研究科, 講師 (80626242)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード肝微小循環障害 / 肝虚血再還流障害 / 抗凝固因子
研究実績の概要

ラットによるIRIモデルにより肝組織における組織傷害を検討していたものの、個体差によるばらつきが多く、マウスによる虚血再還流障害(IRI)モデルで同様の実験を行った。マウス肝の70%の肝を60分間クランプし、240分のreperfusionを行うモデルとした。肝組織における微小血管障害、微小循環障害による肝酵素の上昇を認めた。それに対し、抗凝固因子の1種であるエドキサバンを投与することで肝障害の改善効果を検証することとした。エドキサバンを投与しIRIを行った群では術後肝逸脱酵素の上昇が抑えられ、かつ組織学的に肝障害が軽減された。また組織学的にフィブリンの形成が抑えられ、微小循環が改善していることが示され、抗凝固作用による効用と考えられた。肝組織の微小循環を保つことが、肝障害を軽減するために重要であることが示された。さらに抗凝固作用以外に、炎症性サイトカインである、IL-6、TNF-αのRNA発現が抑えられ、炎症性細胞浸潤を促すMCP-1、CXCL-2、CXCL-10の発現もRNA抑えられた。実際に組織学的にもLy6G免疫染色から好中球の組織への浸潤が抑えられることが判明し、また白血球接着因子であるMAC-1の発現も抑えられていた。その結果としてTUNEL assayでは肝細胞のアポトーシスも抑制されていることが示された。Capase 3のRNA発現も抑えられていたことからもアポトーシスを抑制していることが示された。以上から、肝微小循環はIRIによる肝障害を抑えるのに重要で、抗凝固作用を示す薬剤により血栓予防だけでなく、炎症を抑えることが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

肝移植を想定したIRIモデルで、微小循環が傷害され、肝障害が引き起こされることが判明した。その中で組織学的なフィブリンの検出から、微小血栓による肝微小循環障害が認められた。抗凝固作用のあるエドキサバンでそれらの障害が抑えられることが示された。今後はこれまでの結果をさらに発展させ、テーマとなっている血栓性微小血管障害症(thrombotic microangiopathy: TMA)のメカニズム、さらに抑制について研究を進めていきたい。

今後の研究の推進方策

2021年度はIRIモデルを用いて、肝微小循環障害から、vWF, ADAMTS13値の変化についてさらに深めて検討する。抗凝固因子がTMAの発症にどのように影響を与えるか、さらには遺伝子組み替えADAMTS13を投与することでTMAの発症にどのように影響するか、またその際の各種サイトカイン、ケモカイン、組織学的変化がどのようであるかを検討していきたい。また、IRIモデルでは肝移植後の肝の状態と完全を再現したものではないため、これらの検討を実際の肝移植モデルでも同様に行い、結果を得ることを目標とする。

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公開日: 2021-12-27  

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