生体肝移植において術後グラフト肝機能不全の原因として血栓性微小血管障害症が注目されている。マウス虚血再還流モデルにおいて、von Willebrand Factorを分解するADAMTS13を投与することにより肝機能改善効果を評価した。しかし有意な効果はみられず、同じく抗凝固因子であるエドキサバン投与による効果を検討した。結果、術後肝障害が軽減された。その作用機序として、抗凝固作用による肝組織の類洞鬱血の改善を認めるのみならず、炎症性サイトカインの抑制や肝組織への炎症細胞浸潤の抑制効果も見られた。さらにアポトーシス抑制効果も見られ、それらが総合的に作用し、肝障害を抑制しているものと考えられた。
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