研究課題
本研究は、小動物モデルおよびヒトの肝移植後・肝切除後の門脈血流変化を可視・定量化することにより、肝移植後・肝切除後の肝再生と門脈血流動態との関係を明らかにすること、またさらに過小グラフト症候群と呼ばれる術後早期の肝不全の病態を解明することを目的としている。昨年度までで、小動物用の7テスラMRIを使用したラット肝内門脈の血流評価法について、心電図同期・呼吸同期した2次元PC-MRIと心電図同期を伴わない3次元PC-MRIで比較検討を行い、その結果を論文発表した(Fluid Dynamics Analyses of the Intrahepatic Portal Vein Tributaries Using 7-Tesla MRI)。今年度は、ラットの右葉と尾状葉のみを残す70%肝切除モデルを作成し、通常の肝再生の過程を再現し、同様に7テスラMRIを用いて術後門脈血流のデータを経時的に収集して、血流速度、血流量、壁せん断応力といった各種血流パラメーターを経時的に評価した。門脈第二次分枝に対応する肝臓の各区域の肝再生率を評価し、また類洞内皮と肝細胞のおける各種シグナル伝達系の評価を行い、血流パラメーターの推移との関連を検討しているところである。これまでの解析では、至適レベルの内皮刺激により正常に肝再生を誘導するような70%肝切除モデルでは、その術後の門脈血流において壁せん断応力は大きく変動せず、肝再生を促す刺激として直接は関与していないことが示唆されている。
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