T細胞不活化経路阻害は抗腫瘍効果を有することが知られており,これまでにB7/CTLA-4, PD-L/PD-1などが報告されている.なかでも抗PD-1抗体による免疫療法は,すでに臨床応用され,高い治療効果が報告されている.CD200/CD200R経路は,T細胞不活化経路の一つとして最近注目されており,腫瘍におけるCD200発現が乳癌,頭頸部癌,悪性黒色腫などで予後因子としての報告がある.白血病においては同経路をターゲットとした臨床試験も開始されている.一方,近年,本邦において大腸癌の罹患数は,顕著に増加している. なかでも肝転移に代表される進行症例の予後は,依然として治療成績は満足なものではなく,有効な治療法の開発が課題である.本研究では進行大腸癌のCD200発現に着目し,新規治療開発に向けた研究を行う. 本年度は,大腸癌肝転移のパラフィンブロックを用いて免疫染色を行い,腫瘍におけるCD200発現の検討を行った.CD200強発現が予後と逆相関することを確認した.また,原発巣においても免疫染色を行い,原発巣と転移巣のCD200発現は相関しないことを確認した.また,腫瘍内浸潤リンパ球についても免疫染色を終了した.現在,腫瘍内浸潤リンパ球とCD200発現の関連についての解析,CD200発現と再発様式についての検討を行っている.今後,新鮮凍結血漿を用いたmRNAレベルでの解析を行い,大腸癌肝転移におけるCD200発現が,腫瘍に対する免疫応答についてどのような影響を与えるのか,さらに検討を進めていく予定である.
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