現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験計画は概ね順調に進んではいるが,mRNAの遺伝子導入に関しては,腫瘍細胞から抽出したmRNAは極微量であり,抽出のみでは,非常に多くのCTOS法でライン化した腫瘍細胞が必要であることが問題であった.そこで,効率的に遺伝子導入に必要なRNAの量を確保するために,in vitroで逆転写することで,十分な量,具体的には元の量の30000倍のRNAを得ることが可能であった.このwhole RNAを導入したiPSDCsによって誘導されたCTLは,単一抗原遺伝子を遺伝子導入したiPSDCsによって誘導されたCTLよりも,高い細胞傷害活性が示された.このことからも,whole mRNAを遺伝子導入することで,多数のneoepitope peptideが抗原提示され,高い細胞傷害性を引き出した可能性の裏付けとなるデータが得られた.現在のところ,大腸癌担癌患者のみでのデータであり,他癌腫(膵臓癌,食道癌,胃癌)などを対象とし, 共通抗原であるWT1やMesothelinを導入したiPSDCsにより誘導されたCTLsと比較して,whole RNAを導入したiPSDCsによって誘導されたCTLは,強力な抗腫瘍効果を示すかどうかCr release assayで比較検討しているところである.また,すでに検討が行われた,大腸癌担癌ドナーの腫瘍細胞の遺伝子変異の網羅的解析を行うために,CTOSから抽出したDNAの変異遺伝子を次世代シーケンサーで確認した.まだ,一名のみであるが2000以上の遺伝子変異が明らかとなった.特に,このドナーにおいては,自身のCTOS細胞に対する,細胞傷害性が高い結果であり,変異数と,抗腫瘍効果に関しては,相関する可能性が示唆された.
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