研究実績の概要 |
胃癌手術は、NCDデータで合併症が幽門側胃切除術14.2%、胃全摘21.5%と起こる事が知られている。敗血症の新規バイオマーカーとしてプレセプシン(PSEP)が注目されている。細菌性合併症におけるPSEPの有用性の報告は少ない。胃癌術後のPSEP値と感染性合併症の関連性を検討する。術前、術後1、3、5、7日目に白血球、好中球数、CRP値に加えて、PSEP値を測定し細菌性合併症との関連性を検討した。当該年度に施行した胃癌108例。年齢71.5、男/女:75/33、腹腔鏡/ロボット/開腹:75/16/17。CD分類II以上の合併症は縫合不全7例、膵液漏3例、腹腔内膿瘍4例、胆嚢炎1例、肺炎2例、尿路感染1例。合併症の有無でPSEP値を比較したところ、術前(161 vs 157, p=0.45)は有意差なく、術後1、3、5、7日目は(263 vs 180, p=0.002)、(360 vs 169, p=<0.0001)、(450 vs 159, p=<0.0001)、(4380 vs 165, p=0.025)と有意差が認められた。術後1、3、5、7日目のPSEP、CRP、白血球、好中球のAUC値は(0.73,0.65,0.63,0.62)、(0.89,0.86,0.71,0.7)、(0.86,0.86,0.71,.072)、(0.77,0.64,0.66,0.64)であり、いずれもPSEPのAUC値が高値であった。またPSEPの術後3日目のcut off値は293で感度83%、特異度83%、5日目は278で感度83%、特異度82%と感度特異度ともに80%以上と精度が高かった。また術後3日目のCRP、白血球、好中球の特異度は67%、57%、63%、5日目は77%、51%、62%であり、特異度がPSEPで特に高く、胃癌術後の周術期感染症マーカーとして有用であると考える。
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