研究実績の概要 |
胃癌術後のPESEの有用性については、前年度にまとめて本年度は論文化し報告した。最終年度は食道癌術後のPSEP値と感染性合併症の関連性を検討した。 術前、術後1、3、5、7日目に白血球、好中球数、CRP値に加えて、PSEP値を測定し細菌性合併症との関連性を検討した。食道癌27例。年齢70.9、男/女:18/9、全例胸腔鏡下手術でありCD分類II以上の合併症は肺炎5例(発症日時10.6日)、縫合不全5例(7.4日)、蜂窩織炎1例(11日)。食道癌術後に食事開始後の誤嚥による肺炎は術後比較的安定してからの合併症であり、術後早期の合併症として縫合不全の有無でPSEP値を比較したところ、術後1,3日目は有意差は認められなかったが、5、7日目は(509vs320, p=0.06), (574vs 365, p=0.04)であった。白血球、好中球数、CRP値は、いずれの日時においても有意差は認められなかった。縫合不全の発症日時が平均7.4日であり術後5、7日目に注目したところ、PSEP、CRP、白血球、好中球のAUC値は(0.89,0.7,0.62,0.62), (0.83,0.76,0.63,0.63)であり、いずれもPSEPのAUC値が高値であった。またPSEPの術後3,5日目のcut off値は397(感度100%、特異度81.9%) 、5日目は401(100%、68.2%)であり感度は100%であった。 胃癌同様、食道癌においても術後5、7日目のPSEPは、CRP、白血球、好中球と比較して縫合不全の診断に優れていた。また術後5、7日目のcut off値はともに400前後であり、術後日時に関わらずcut off値が一定であり、感染性合併症の判別に簡便なマーカーと考える。
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