研究課題
本研究では大腸癌におけるPOU5F1の機能的役割の解析、多様性維持機構の解明をおこなうことを目的とした。本年度に実施した研究の成果としては以下の通りである。研究計画① POU5F1可視化細胞の作製と腫瘍多様性に関わる遺伝子の解析:POU5F1のプロモーター領域とEGFPをiCCに導入し、POU5F1の発現を緑色の蛍光にて可視化させた細胞のマイクロアレイによる遺伝子発現解析において、POU5F1ではFGF関連パスウェイなど幹細胞に関わる遺伝子がエンリッチされていた。研究計画② POU5F1遺伝子と治療抵抗性の関連に関する解析:テトラサイクリン発現誘導システムを用いて、POU5F1の遺伝子発現を制御することが可能な大腸癌細胞株、初代培養細胞を樹立した。今後はPOU5F1の高発現な集団、低発現な集団を作製し、この集団に対して、細胞障害性薬剤を投与し、その挙動を観察する。研究計画③ 治療抵抗性細胞集団の同定と解析:これまでに、細胞障害性薬剤を投与した際に残存する細胞集団においてPOU5F1の遺伝子発現が高いことが明らかになっているが、POU5F1の遺伝子発現が高い集団が細胞障害性薬剤を投与した際に残存するのか、もしくは細胞障害性薬剤を投与した際にPOU5F1を発現させることで抗癌剤抵抗性を獲得するのか、については定まった知見はない。今回、この機序を明らかとするために、ダイメライザーの投与により、POU5F1発現細胞にてカスパーゼ9を誘導し細胞死をおこすシステムの構築を行うことを計画した。POU5F1のプロモーター領域とEGFP、カスパーゼ9を組み込んだベクターを作製し、このベクターを組み込んだ安定発現株を、大腸癌細胞株と初代培養細胞の両者において作製することができた。今後ダイメライザーの投与による変化の解析を続けて行う。
2: おおむね順調に進展している
研究計画にのっとり進めている。
概ね予定通り進展しているため、当初の研究計画にのっとり進めていく。
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BBRC
巻: May 28;513(2) ページ: 332-339
10.1016/j.bbrc.2019.03.173.
Stem Cells Int
巻: 7896524 ページ: 7896524
10.1155/2019/7896524.