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2019 年度 実施状況報告書

CTと術中動画を用いた膵上縁リンパ節郭清シミュレーションモデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K18151
研究機関神戸大学

研究代表者

山崎 悠太  神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (60817823)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード腹腔鏡下胃切除術 / ディープラーニング
研究実績の概要

研究初年度は、①CT画像からの臓器血管3D構築画像の収集、②手術動画中の鉗子自動認識システムの開発、③複数カメラ映像からの3次元座標の同定を行った。
①については、当科で昨年度に行った腹腔鏡下胃切除術症例のうち約30症例のCT画像で膵・膵上縁血管の3D構築画像を作成し収集した。
②については、汎用の物体検出モデルYOLOv3を腹腔鏡手術動画に応用するという手法である。腹腔鏡下胃切除術の手術動画から10000枚以上の画像を切り出し、手術器具14種類についてマニュアルアノテーションを行い学習用データセットを作成した。GPU搭載のコンピュータを用いてニューラルネットワークの学習を行い、腹腔鏡下胃切除術中の手術器具自動認識システムを作成した。さらに約3000枚のテスト用データセットを作成して精度評価を行い既報と比しても遜色のない認識精度を確認した。また、同システムの出力結果をもとに手術器具使用分布を視覚化するヒートマップを作成し、吻合法や出血の多少などの症例ごとの手術の特徴を表現することに成功した。上記研究成果をJournal of the American College of Surgeonsに報告した。
③については、3D内視鏡画像からの臓器・鉗子位置情報の抽出を目的として、まずは基礎的な実験・検証を行った。dry box内で鉗子を操作し、同dry box内にパラレルに配置したカメラで撮影した映像中からYOLOv3によって認識された鉗子の3次元座標を、三角測量の手法を用いて算出し得た。上記の研究成果も、学術誌に投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

以前に開発していた術具自動認識システムはセマンティックセグメンテーションの手法を用いたものであったが、腹腔鏡下胃切除術のような多様な術具を使用する術式においては、複数種類の術具についてそれぞれ多量の画像にアノテーションを行ってデータセットを作成する必要があり、多大な時間と労力が必要と考えられ研究の進行に差し支えると判断した。そのため、セグメンテーションに比べてアノテーションの容易なobject detectionを用いることとし、汎用の物体検出アルゴリズム(YOLOv3)を応用する方針に切り替えた。そのため、新たなデータセット作成・精度評価を行ったためやや計画に遅延が生じているが、14種類もの術具に対して高い精度で自動認識が可能になったという点では、従前の手法で継続するよりは飛躍的に早くまた各段に少ない労力で実現できたと考える。
画像からの3次元座標の抽出に関しても、上記の通り物体検出の手法を変更したため遅延しているが、三角測量を用いた3次元座標の算出について基礎的な検証は終了している。

今後の研究の推進方策

YOLOv3を用いて胆のう摘出術における主要landmarkの自動認識に成功した研究が報告されており、膵上縁郭清後の画像における主要血管や臓器の自動認識は実現可能と考えられる。今後は当初の計画通り、自動認識システムによる手術映像中の3次元座標の抽出に取り組み、CT画像との対比によって、術中の臓器の異動を定量化し、シミュレーションモデルの作成に向けて、データの集積を行う。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の流行に伴う外出自粛要請に伴い、学術集会の延期・研究協力機関に出向いてのミーティングの中止・各種物品の納期延長などの事由により、今年度内での支出額が減少した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Automated Surgical Instrument Detection from Laparoscopic Gastrectomy Video Images Using an Open Source Convolutional Neural Network Platform2020

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki Yuta、Kanaji Shingo、Matsuda Takeru、Oshikiri Taro、Nakamura Tetsu、Suzuki Satoshi、Hiasa Yuta、Otake Yoshito、Sato Yoshinobu、Kakeji Yoshihiro
    • 雑誌名

      Journal of the American College of Surgeons

      巻: 230 ページ: 725~732.e1

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.jamcollsurg.2020.01.037

    • 査読あり
  • [学会発表] 物体検出アルゴリズムを用いた鉗子軌道解析法の開発2019

    • 著者名/発表者名
      山崎悠太、金治新悟、瀧口豪介、裏川直樹、長谷川寛、 山本将士、松田佳子、山下公大、松田武、押切太郎、 中村哲、鈴木知志、掛地吉弘
    • 学会等名
      コンピュータ外科学会

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公開日: 2021-01-27  

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