研究課題
ヒトiPS細胞から肝細胞への分化ができ、その手技は安定し、安定的にiPS細胞由来肝細胞を作成できるようになった。この肝細胞を免疫抑制ラットに細胞移植を行った。細胞移植を行ったラットは移植後2週目の血清のエライザにて、ヒト特異的アルブミンの発現を認め、移植した肝細胞からアルブミンを産生しており、生着していることが推測された。移植後90日目にラットを犠牲死させ、標本を摘出した。摘出した標本をヒトアルブミンで免疫染色したところ、肝臓内に多くの肝細胞がヒトアルブミン陽性であり、ラット肝の80%がヒトiPS由来肝細胞に置換されていた。このラット肝臓からDNAを抽出し、PCRを行ったところ、ヒト特異的DNAが検出され、ラット肝内でヒト細胞が存在することが証明され、ラット肝内でヒトiPS由来肝細胞を増殖されることに成功した。このラット肝をコラゲナーゼ処理し、肝細胞を抽出した。抽出した肝細胞をヒト特異的アルブミンをつけてMACSにてヒト細胞のみを抽出を行った。抽出した肝細胞をFACSを行ったところ、ヒト細胞にラット肝が10%程度混入していることが分かった。混入する原因としては、ラット肝にヒトアルブミンが付着し、抗体にトラップすることが考えられた。そのため、MACSの抗体濃度を下げたところ、急激な肝細胞の回収率が低下し、さらにラット肝の混入率は低下させることができなかった。別のヒト特異的抗体で同様の処理を行ったが、ラット細胞の混入率は5%程度はあった。臨床応用するためには、ラット肝の混入は下げる必要がある。そのため、ラットの遺伝子改変を行い、Cris-Cas9を導入したラットに移植を行った。iPS細胞から星細胞を作成することに成功した。この星細胞は大量のHGFを産生することが証明され、星細胞の上清を振りかけることで、肝細胞の増殖が増加した。肝細胞の増殖に星細胞が関わっていることが分かった。
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Ann Surg Oncol
巻: 27 ページ: 3344-3353
10.1245/s10434-020-08419-4