昨年度までの臨床検体に追加してさらに2020年~2021年の食道癌の摘出標本を用いてNICD1の核での発現量を0:0~50%、1:50~100%として低発現群と高発現群 の2群に分けた。さらにはNICD1の核での発現量を0:0~25%、1:25~50%、2:50~75%、3:75~100%としてこれまでの臨床検体も含めて4群に分けて、予後との関係を比較したが、明らかな予後のとの関連は認められなかった。 細胞実験に関しては食道癌細胞株である、TEシリーズを用いて行なうこととした。TEシリーズはTE1、TE4、TE5、TE6、TE8、TE11、TE15に関してNICD1の発現量を調べた。NICD1の発現量の多いTE8にsiNOTCH1を導入した。一方、NICD1の発現量の少ないTE4に NICD1を強制発現のためのベクターを導入した。それらの食道癌 細胞株の浸潤能や増殖能などを調べた。増殖能を調べるために、WST-1 assayおよび、Ki67やPCNA、MCM2のRT-PCR・ウエスタンブロッティングを施行した。浸潤能を調べるためにはInvasion assayおよびE-cadherinやSlugやSnailのRT-PCRやウエスタンブロッティングをそれぞれ施行した。siを用いた細胞株ではKi67やPCNAの発現が低下する傾向がみられたが明らかな有意差は得られなかった。また、ベクターを導入した細胞株ではKi67やPCNAの発現に変化は認めなかった。
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