研究実績の概要 |
細胞周期のG2/Mチェックポイント阻害剤としてAZD6738を用いて表題のごとく研究を進めてきた。前回、大腸癌株に対する5-FUの治療増強効果をAZD6738を併用することで認められることを証明した。さらに、マウスへの移植モデルにおいても同様の結果が得られている。以上のことから、大腸癌のキードラッグの一つである5-FUをベースとした治療においてAZD6738を併用することが、治療成績の向上につながることが示唆された。以上の内容をSuzuki T, HIrokawa,T et al, ATR inhibitor AZD6738 increases the sensitivity of colorectal cancer cells to 5‐fluorouracil by inhibiting repair of DNA damage: ONCOLOGY REPORTS 47: 78, 2022として論文発表した。 以上の基礎実験をもとに、FTDの治療効果向上が期待できるかを目的に実験を進めてきた。具体的にはまず、大腸癌の細胞株に対し、FTDを添加しDNA損傷の修復過程でG2/Mチェックポイントが作用するかをフローサイトメトリーを用いて確認し、さらにAZD6738を併用しチェックポイントが解除されることを確認した。これらをもとに、細胞株での生存率並びにマウスへの移植モデルで、FTDの抗腫瘍効果がAZD6738を併用することで増強されることを確認した。以上の内容をHarada S, Hirokawa T, et al, AZD6738 promotes the tumor suppressive effects of trifluridine in colorectal cancer cells:ONCOLOGY REPORTS 49: 52, 2023として論文発表した。
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