今回,我々は免疫回避機構関連分子であり,癌幹細胞マーカーとも言われているCD200に着目した.大腸癌におけるCD200の発現意義を検討し,CD200をターゲットとした新規治療薬の開発に関連するような研究を行うことを目的としている.まず,ヒト大腸癌の切除標本検体を用いて,CD200モノクローナル抗体による免疫染色を行った.大腸癌細胞におけるCD200の発現と,他の臨床病理学的因子との関連について検討を行い,多変量解析において大腸癌におけるCD200の高発現群は独立した予後不良因子であった.次にこれらCD200高発現群と低発現群の比較においては,多変量解析でCD200高発現群がCD200低発現群に対して有意に血行性転移が多いという結果であった.以上より,大腸癌において,CD200の発現は血行性転移に関与し,また予後不良因子であることが示唆された.次に,腫瘍内浸潤リンパ球の評価を用いて,CD200がPD-1/PD-L1のような免疫回避機構に関わる因子であるかをCD8+,CD4+,CD45RO+の免疫染色を行い,腫瘍内浸潤リンパ球と予後との関連,また,腫瘍内浸潤リンパ球とCD200の発現との関連について病理組織学的に検討し,現在解析を行っている.これらの評価を行った上で,次にCD200と癌幹細胞マーカーであるCD133,CD44との関連について病理組織学的に評価を行い,CD200の機能解析を進めていく予定である.
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