これまでに重症心不全外科治療前後における腸内フローラの分布に着目した研究はない。重症心不全外科手術は、手術術式・デバイスの進歩にも関わらずいまだ死亡率・合併症発症率が高く、その中でも腸管合併症は致命的となりうる疾患である。術前と術後安定期で腸内フローラ分布が変わっている事から、心拍出量の変化が腸内フローラに何かしらの影響があることが示唆された。現時点では、腸内フローラ変化と術後アウトカムとの相関を見いだすに至らなかったが、今後さらなる検討と症例数の積み重ねにより、bacterial translocationなどの腸管合併症の早期発見につなげる為の礎となる研究になると考えている。
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