我々は、血液適合性が高いと言われている、Diamond-like Carbon(DLC)を人工弁の骨格、弁尖部分にコーティングする技術を開発し、人工弁の立体構造へのコーティングを可能とした。DLCの血液適合性について、血小板付着試験、SDS-APGE試験、アルブミン・フィブリノゲン吸着試験、各種条件下でのIn-Vitro、In-vivoでの全血接触試験の結果、DLCの血液適合性は、人工血管に使用されるePTFEとほぼ同等レベルであることが示唆された。ブタによるIn-Vivo全血接触試験では、動脈血流下でも、静脈血流下でも、ほぼ同等の血液適合性があるものと思われた。これは、血管内植え込みデバイスに使用される素材のなかでは最高レベルの血液適合性であることを示唆しているが、明らかに既存の人工血管や人工弁に応用して、既存のものを上回る血液適合性を得ることは困難であると思われた。本内容は、現在論文投稿中である。さらなる血液適合性の向上を目指すためには、DLCの血液適合性事態も改善の余地があると考えられた。本研究での血液適合性の検証は、表面に官能基を付加して生体細胞表面の構造にDLCを近づける、Biomimetic DLCを構想するきっかけとなり、現在開発をすすめている。本研究で開発した、In-VitroのValve開閉試験装置については、水テストで施行したが、理想的な圧波形が得られず、弁の解放は得られるものの、前行性の十分なフローが得られていなかった。試行錯誤を繰り返したが、問題を解決できなかった。
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