研究課題
光音響イメージングによって、リンパ浮腫の外科的治療であるリンパ管細静脈吻合術(LVA)における術後の開存評価や、リンパ管や静脈系に生じる変化について評価するために、以下の試験を行った。1 静止画の解析: これまでのデータも含め、LVAの前後で光音響イメージングの画像が得られたのは4症例であった。撮影範において、術後にはリンパ管は明瞭化し、静脈の径は縮小する傾向が示唆された。LVA吻合部に注目すると、リンパ管と静脈の両者が同定できるもの、リンパ管か静脈のいずれかが消失したように見えるもの、両者が消失したように見えるもの、の4パターンを認めた。これらのうち、両者が同定できるものが吻合部の開存を示す所見であるものと思われるが、引き続き症例を重ねて検討する必要があると考える。なお光音響イメージングでは術後1週間においても明瞭なリンパ管画像が得られたが、吻合部においては画像にノイズが生じ、観察は困難であった。この信号は、術後1-2か月以降は消失することが判明した。2 動画の解析: 一部の症例では、吻合部においてリンパ管から静脈に向かってリンパ流が生じる様子を動画で記録することが可能であった。このとき、リンパ流が発生しない限り吻合部のリンパ管は描出されづらく、静止画においてすべての吻合部の開存を評価することは困難であることが示唆された。現在、リンパ管や静脈の径を算出する際、画像ビューアの輝度やコントラストの設定によって、求める値がばらついてしまうという課題に直面している。今後は画像工学的な手法を取り入れ、再現性に優れる画像表示設定の手法を定め、改めてLVAがリンパ管や静脈の径に与える影響に関する検討を深めていきたい。
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Plastic and Reconstructive Surgery - Global Open
巻: 9 ページ: -
10.1097/gox.0000000000003348
リンパ学
巻: 8 ページ: 6~8