研究課題/領域番号 |
19K18198
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
山田 英明 福岡大学, 医学部, 助教 (80785006)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 重症下肢虚血 / 血管新生治療 / TRPV4 / リンパ管新生 |
研究実績の概要 |
<動物実験での虚血肢の血流回復の評価> TRPV4作動薬投与群では、TRPV4拮抗薬投与群と対照群に比べて、早期に血流の回復が認められた。 <虚血肢筋組織内の毛細血管数の定量評価とTRPV4の局在と定量評価> TRPV4作動薬投与群では、TRPV4拮抗薬投与群と対照群に比べて、術後14日目の虚血肢筋組織内の毛細血管と毛細リンパの増加が認められた。また、虚血肢筋組織内のTRPV4の局在を証明するために、血管内皮をTRPV4抗体とvon Willebrand Factor抗体にて二重染色し、リンパ管内皮をTRPV4抗体とPodoplanin抗体で二重染色した結果、毛細血管内皮細胞膜上及び毛細リンパ管内皮細胞膜上にTRPV4が存在していることが証明された。また、TRPV4治療群では、他の2群に比べて、毛細血管内皮及び毛細リンパ管内皮におけるTRPV4の発現量が多いことがわかった。 <TRPV4機能解析> 虚血肢モデルが臨床病態と同じく、組織低酸素分圧であることを証明するために、酸素分圧測定器を使用して確認した。その上で、同様な環境下でリンパ管内皮細胞におけるTRPV4の発現が、正常酸素分圧に比べて、mRNAの発現量が増加していることを確認した。以上の結果より、血管内皮細胞のみならずリンパ管内皮細胞においても、低酸素環境下でTRPV4の発現が活性化されることが、新たにわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
あと一年で予定期間内に研究の終了が望めるin vitro実験を2つ行い、少なくとも半年以内に投稿する予定のため。
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今後の研究の推進方策 |
低酸素環境下では、正常酸素環境下と比べて、リンパ管内皮細胞におけるTRPV4のプロモーター領域の活性化が認められることを、レポーターアッセイにて解析する。また、カルシウムイオンチャネルであるTRPV4が、正常酸素環境下と比べて、低酸素環境下では、カルシウムイオンの取り込みが増加することを、fura2というプローブを使って、カルシウム増減を評価し、低酸素環境下でリンパ管内皮細胞内のカルシウムの取り込みが増加していること確認する。更に、シグナリングアッセイにて、細胞増殖に関わる因子の発現が低酸素下及びTRPV4作動薬投与することで増加することを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が終了しておらず、基礎実験をあと2つのテーマを行うための実験費用と、実験終了後に論文作成や学会発表にあたっての旅費や諸経費が必要であるため。
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