1.研究状況 2021年度は左室補助人工心臓装着後心室間同期不全現象に関して以下の要領で検討を行った。これまでに施行した大動物実験を用いた心室間同期不全現象の定量化、機序解明、数理学的アプローチによる血行動態パラメーターや心臓弁に及ぼす影響の解析に加えて、薬剤性および虚血性モデルによる急性および慢性心不全状態における心室間不全現象の病態評価を試みた。また、新たな診断技術としてスペックルエコー法を用いて左室補助人工心臓駆動条件による心機能及び心室間同期不全現象に関してより詳細な評価を行なった。さらに、他モダリティーを用いた病態評価としてレーザースペックルフローグラフィーを用いた末梢循環の観察を行い、心室間不全現象との関連に関して検討を行なった。
2.研究結果の発表 論文作成、学会発表による研究結果の発表を以下の通り行なった。左室補助人工心臓装着時の生理学的評価の一環として、レーザースペックルフローグラフィーを用いた網膜血流評価による末梢循環の観察に関する検討について報告した。(Shimamura et al. J Artif Organs. 2021.)心臓血管外科関連学会および人工臓器関連学会における学会発表活動も行い、胸部外科学会学術集会におけるJATS Research Project Award受賞講演、人工臓器学会学術集会総会においてJSAO Grant Award 受賞講演を行い研究内容の発信を行なった。
3.今後の研究の展開に関する計画 本研究で用いたコンダクタンス法、およびスペックルエコー法、レーザースペックルフローグラフィー法は既に臨床応用されている診断技術であり、これらの組み合わせることにより動物実験のみならず、重症心不全患者の心室内同期不全現象、心室中隔運動、右室機能評価、末梢循環観察を通して病態評価、治療評価にも応用が可能であると考えている。
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