研究課題/領域番号 |
19K18208
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
尾関 直樹 名古屋大学, 医学系研究科, 客員研究者 (70646512)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 間質性肺炎 / 水素水 |
研究実績の概要 |
分子状水素水の間質性肺炎(IP)に対する効果およびそのメカニズムを検討し、将来の臨床試験への道標とすることが主な目標である。肺はその構造と機能により、活性酸素(ROS)による酸化的障害を受けやすい。これを防ぐためには抗酸化物質による酸化-抗酸化(レドックス)制御が重要である。IPでは、上皮細胞損傷の一因として、マクロファージ、好中球、線維芽細胞由来のROSが増加し、同時に抗酸化物質が低下していると指摘されている。転写因子Nrf2は、多様な環境因子が引き起こす酸化ストレスに対する防御機構の一つである。Nrf2が誘発する酸化ストレス防御遺伝子群の中で、ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)の役割が特に重要であるとされている。我々は、ブレオマイシンによる肺障害モデルマウスを用いて、分子状水素水の投与を実施し、肺組織やBALの結果の解析を進めている。また、ヒト肺組織を用いた検証も進めている。特に、肺におけるHO-1の発現は、急性肺障害(ALI)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に対する保護効果があると示されている。HO-1の発現は、これらのモデルにおいて、炎症、酸化ストレス、細胞死を軽減する効果があるとされている。ヒト肺組織におけるHO-1の発現は、さまざまなタイプの肺損傷や炎症に対する防護作用と関連していると考えられる。また、手術時の酸素投与量と術後肺障害の検討を通じて、ROSの臨床的な発現を検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染症感染拡大による研究の制限もあり、進歩状況としては当初予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ブレオマイシンを用いたマウスモデルにおいて、分子状水素水の病理組織学的ならびに分子生物学的な効果をさらに検証していく。ヒト肺組織を用いて、HO-1の 働きを臨床病理学的に検証していく。さらに、手術時の酸素投与量と術後肺障害の検討を通じて、ROSの臨床的な発現を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID19感染症感染拡大により、研究が制限され、研究計画にやや遅れが生じたため次年度使用額が生じた。当初計画通りの適切な研究を進めていく予定である。
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