研究課題/領域番号 |
19K18210
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 温志 三重大学, 医学系研究科, 助教 (80783133)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 癌浸潤 / 癌転移 / 微小環境 / インテグリン |
研究実績の概要 |
特発性間質性肺炎における線維化の過程で、2型自然リンパ球(ILC2)やM2型マクロファージの活性化による単球形骨髄由来細胞(M-MDSC)を介した抗腫瘍免疫抑制による発癌の研究を進めていたが、動物実験レベルでもフローサイトメトリ(FACS)やMACSによるILC2やM-MDSCのソーティングが技術的に難しく、更にこれらの免疫細胞の培養も非常に困難であった。そこで、これら免疫細胞の解析をいったん中止し、癌細胞と微小環境がもたらすインテグリンを介した癌浸潤・転移ニッチ形成の解析に方針をシフトして実験を進めている。 癌細胞と微小環境がもたらす癌浸潤・転移ニッチ形成において、癌細胞の遊走・接着・浸潤にインテグリンが大きく関係していると考えられる。間質性肺炎における線維化部ではファイブロネクチンやラミニンなどの細胞外マトリックス(ECM)の増生が盛んであり、これらのECMによるインテグリンを介した働きが癌浸潤・転移ニッチ形成を促進している可能性がある。 そこで、in vitroで癌細胞とファイブロネクチン固層化の有無で培養し、抗癌剤(Doxorubicin)を添加して、IC50を計測したところ、ファイブロネクチン固層化群で濃度依存的にIC50が高くなり、抗癌剤(Doxorubicin)に対する抵抗性を獲得していた事が確認された。この癌細胞におけるインテグリン発現をフローサイトメトリ(FACS)で解析したところ、インテグリンαvやβ1、β3などが発現していたため、今後はインテグリン阻害剤による癌浸潤・転移抑制効果や抗癌剤とのシナジー効果などを解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
特発性間質性肺炎における線維化の過程で、2型自然リンパ球(ILC2)やM2型マクロファージの活性化による単球形骨髄由来細胞(M-MDSC)を介した抗腫瘍免疫抑制による発癌の研究を進めていたが、動物実験レベルでもフローサイトメトリ(FACS)やMACSによるILC2やM-MDSCのソーティングが技術的に難しく、更にこれらの免疫細胞の培養も非常に困難であった。したがって、肺手術検体を使用した実験はまだ開始できていない。 そこで、これら免疫細胞の解析をいったん中止し、癌細胞と微小環境がもたらすインテグリンを介した癌浸潤・転移ニッチ形成の解析に方針をシフトして実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
癌細胞と微小環境がもたらす癌浸潤・転移ニッチ形成において、癌細胞の遊走・接着・浸潤にインテグリンが大きく関係していると考えられる。間質性肺炎における線維化部ではファイブロネクチンやラミニンなどの細胞外マトリックス(ECM)の増生が盛んであり、これらのECMによるインテグリンを介した働きが癌浸潤・転移ニッチ形成を促進している可能性がある。そこで、インテグリン阻害剤及び抗インテグリン抗体を使用した癌細胞の浸潤・転移抑制効果をin vitro、in vivoで検証し、将来的には抗癌剤としての新規インテグリン抗体の開発を目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
間質性肺炎における線維化部ではファイブロネクチンやラミニンなどの細胞外マトリックス(ECM)の増生が盛んであり、これらのECMによるインテグリンを介した働きが癌浸潤・転移ニッチ形成を促進している可能性がある。そこで、インテグリン阻害剤及び抗インテグリン抗体を使用した癌細胞の浸潤・転移抑制効果をin vitro、in vivoで検証する。そのために使用する試薬(インテグリン抗体の購入など)や消費物品、また動物購入・飼育料などの費用として翌年度分として請求する必要がある。また、研究の進捗状況をさらに進めるために年30万円程度の費用(週1日)で研究技術者を雇い、研究計画の遅延の無いようにする。
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