研究課題/領域番号 |
19K18210
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
伊藤 温志 三重大学, 医学系研究科, 助教 (80783133)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 2型自然リンパ球 / がん / 腫瘍微小環境 / 骨髄由来免疫抑制細胞 |
研究実績の概要 |
当初は間質性肺炎合併肺癌の腫瘍微小環境における2型自然リンパ球(ILC2)の働きについての研究を進めていたが、間質性肺炎合併肺癌の動物モデル作成が困難なこと、ヒトサンプルを用いた2型自然リンパ球の解析が技術的に難しかったため、転移性肺癌微小環境におけるILC2の働きに注目した。乳癌肺転移モデルマウスを用いて、ILC2が抗腫瘍免疫抑制細胞に働きかけ腫瘍増殖を許容する微小環境を転移形成カスケードを通して構築している可能性を見出した。この結果については、今後学術雑誌への投稿を予定している。 これまでに2型自然リンパ球の免疫作用について以下のレビューを投稿している。 1) 伊藤温志、赤間悠一、島岡要. 免疫チェックポイントと2型自然リンパ球. Medical Science Digest 2021. 47(2): 97-100. 2) 伊藤温志、赤間悠一、島岡要.2型自然リンパ球と癌:促進と抑制の狭間で.BIO Clinica 2021. 36 (12): 64-67.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は間質性肺炎合併肺癌の腫瘍微小環境における2型自然リンパ球(ILC2)の働きについての研究を進めていたが、間質性肺炎合併肺癌の動物モデル作成が困難なこと、ヒトサンプルを用いた2型自然リンパ球の解析が技術的に難しかったため、転移性肺癌微小環境におけるILC2の働きに注目した。乳癌肺転移モデルマウスを用いて、ILC2が抗腫瘍免疫抑制細胞に働きかけ腫瘍増殖を許容する微小環境を転移形成カスケードを通して構築している可能性を見出した。 この結果については学術雑誌への投稿を予定している。
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今後の研究の推進方策 |
乳癌肺転移モデルマウスにおいてはILC2が抗腫瘍免疫抑制細胞に働きかけ腫瘍増殖を許容する微小環境を転移形成カスケードを通して構築している可能性を見出したが、これが実際のヒト乳癌肺転移(あるいは他の悪性腫瘍肺転移)でも同様のメカニズムが構築されているかをヒトの臨床検体を用いて探索することを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由):乳癌肺転移モデルマウスにおける肺2型自然リンパ球の役割の解析に必要な使用数が当初の計画よりも少なく済んだため。また当初はヒトの肺癌患者サンプルを使用する予定であったが、技術的に困難であったためマウスを用いた動物実験に切り替えたので、ヒトの解析に使用する抗体などの使用量が少なく済んだため。 (計画):これまでのデータを集積して論文投稿費用や投稿後の追加実験を行うための試薬の購入や解析費用に当てたい。
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